加熱式タバコ専用フロアは、是か非か

加熱式タバコ専用フロアは差別化になるのか

 

Author:林 秀樹 Hideki Hayashi
1972年生まれ、福井県出身。名城大学卒。遊技機販売商社勤務を経てパチンコ店経営企業へ。
エリア総括部長・調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。
2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな機械整備技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。
計数管理とマーケティングに強みを持つ。お問い合わせはこちらから。
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■パチンコ店と親和性の高いタバコ、その対応

 
2020年4月から事業所、商業施設での完全禁煙化がスタートしています。
現在は喫煙者数、喫煙者率ともに年々減少傾向にあるのですが、パチンコ営業とタバコは親和性が高いと考えられており、各社は喫煙ルームや店外の喫煙場所を設置することでその対応を図りました。
 
JT調べ 全国の喫煙率。
タバコを吸わない人はすでに80%以上いる。
 

 
日遊協アンケート「パチンコユーザーの喫煙状況
パチンコユーザーに限定すると約60%がタバコを吸う。

 
しかし、
 
・離席による稼働時間の減少
・喫煙ルームに行くことで冷静になる
・離席のタイミングが「キリ」の良いときになりがち
 
ということで営業への影響も大きいと考えられています。
(同時期に新型コロナウイルスの影響もあったので正確な影響は測りづらいですが)
 
さて「営業所での喫煙」については、厚生労働省から喫煙ルーム以外にもいくつかの方法が明示されていました。
 

 
まずは「喫煙専用室(喫煙ルーム)の設置です。これが最もスタンダードな対応で多くの店舗ではこのような喫煙ルームを設置しました。
しかしこれでは上記のような問題点(離席の影響)を抱えています。
 
そしてこれ以外にも2つ方法はあります。
 

 

 
②は同じフロアで間仕切りをして加熱式タバコのみ遊技しながらOKとする方法、③は多層階の店舗が上階を完全喫煙可能フロアとする方法です。ただし③の場合、紙巻きたばこを許可すると飲食が不可となるので、③であっても現実的には加熱式タバコがOKとなるにとどまるでしょう。
 
一応、厚生労働省からは上記3案が提示されていますが、ほとんどの商業施設、パチンコ店では①の「喫煙専用室(喫煙ルーム)」を設置しています。
 

■加熱式タバコ専用フロア、その効果

 
先日、123N+大阪本店(大阪市北区)を視察してきました。総台数1,392台、3フロア―の巨大店舗で、この3フロアのうち2Fを「加熱式タバコ専用フロア」としています。
 

 
さて、その稼働状況などは以下のとおりでした。
 
・視察日時 2020年6月12日(金) 17:00~18:00
・2Fフロアの概要 4円84台 / 1円140台 / 46枚56台 / 182枚112台
 
以下、「喫煙者数/遊技客数」で表記します。
・4円   1人/20人(稼働率10.9%)
・1円   0人/73人(稼働率(52.1%)
・46枚  0人/16人(稼働率28.6%)
・182枚  0人/47人(稼働率42.0%)
・合計  1人/156人(稼働率39.8%)
 
なんと、遊技客数156人に対して加熱式タバコを吸っていたのは一人だけでした。
(ただし灰皿を手元に置いていた人は5人いましたので合計6人、とも言えます。)
 

■運用方法の影響か

 
実はこの加熱式タバコ専用フロア、灰皿はそもそも遊技台に備えられていません。
島中央の台の上に置いてあり、それを吸いたい人が自分で席まで持っていくシステムでした。
 

 
2Fをくまなく歩いて確認しましたが灰皿置き場は1か所しかなくこの3つのみです。
(使用中が6個あった、と考えれば10個程度の用意だったのかも)
 
これだと使うのにちょっと勇気が要りそうですね。
何となく「タバコを吸うことを良しとしない」世間の空気感がありますので。
 
B1F(46枚スロット)の稼働率は30%前後、1F(4円パチンコ)の稼働率はおおよそ20%前後でしたので、上階というハンディを考慮しても決して高い稼働とは言えませんでした。
 
もちろん機種構成の影響もあるでしょうが(2Fはバラエティ主体)、「遊技中にタバコを吸いたい」というニーズを満たして稼働の向上を図る」は、今のところ難しいと思われます。
 
なお低貸玉はパチンコもスロットも2Fにしかないので比較的高稼働です。しかしタバコを吸っていた人および灰皿を置いていたお客様はいませんでした。
 

■タバコを吸いながら、というニーズはあるのか(高いのか)

 
今回の視察では全遊技客中でタバコを吸っていたのは一人だけでした。
一応4円と46枚に関しては他フロアにも設置されているので、あえて2Fで遊技しているお客様は「タバコを吸いながら遊技したい」客層なのかもしれません。しかし、その稼働率は他フロアよりも低いです。
 
いま、タバコは敬遠される存在となりつつあります。「吸いながらパチンコをする」という文化、環境も今後は徐々に変わっていくのではないでしょうか。ちょうど新型コロナによって社会が変革したのと同様に。
 
そもそもタバコを吸う人数が大きく減少しており、この先もさらに減ることが見込まれています。
たしかにパチンコとタバコは親和性が高いと思われますが、今後は社会の趨勢と同様に減少していくでしょう。
 
大きな設備投資をして「タバコが吸える」をアピールしても、
・ニーズはあまり高くない
・今後もさらに低下する
・競合もやってきたら、それは差別化になりえないことになる
 
ということで費用対効果の点で難しいと思います。

 
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