イベントと入替の効果が薄いことはわかっているはずではないか

イベントと入替 の効果が落ちている現状
 イベントと入替 

■ 客数が戻らないのは新型コロナウイルスのせいではない

現状のパチンコ店の客数(稼働)は総じて非常に厳しい状況です。そのキッカケはやはり新型コロナウイルスとなりますが、あくまでそれはキッカケであってその後に稼働が戻らないのはもはや新型コロナウイルスが要因と言えません。仮にワクチンが行き届いて他人との接触に制限がない社会になったとしてもパチンコ業界の厳しさは変わらないでしょう。

一般的にもパチンコ業界は斜陽産業の代名詞的存在とされその業界規模は長期的な落ち込みを示しています。ここで過去10年の店舗数推移を確認してみましょう。

2010年12月末 11,522店舗
2011年12月末 11,314店舗(▲208)
2012年12月末 11,177店舗(▲137)
2013年12月末 10,953店舗(▲224)
2014年12月末 10,661店舗(▲292)
2015年12月末 10,325店舗(▲336)
2016年12月末 10,011店舗(▲314)
2017年12月末  9,681店舗(▲330)
2018年12月末  9,237店舗(▲444)
2019年12月末  8,886店舗(▲351)
2020年12月末  8,302店舗(▲584)
全日本遊技事業協同組合連合会ウェブサイト「組合加盟店舗の実態調査結果」

実にこの10年で店舗数は▲3,220店、市場規模(店舗数)は2010年比で72.1%に縮小しており、この傾向の要因として多くの業界誌その他の意見では、現状の稼働低迷の要因は「射幸性の低下」、「遊技機自体の魅力の低下」を挙げています。コロナの影響ではないという認識です。(2020年にそれまでよりも多くの閉店数となっている点、キッカケとしてのコロナの影響はあったと思いますが。)

しかし例えば商圏内のパワーバランスが全く変わらないというのであれば業績(稼働)の低迷はそうした外部要因(遊技機のこと、射幸性のこと)だけの影響と考えられますが、現実はそうではありません。ほぼすべての店舗の業績は落ちていますが、その落ち方(落ち率)には違いがあり、中には商圏内のポジションを上げている店舗もあります。(※業績は落ちていても相対的な比率は上げている店舗があるということ)

総じて落ちているというのは紛れもない事実ですが、それでもその中身には違いがあるのはなぜなのでしょうか。

これは商品や業界といった「売り手視点」ではなくヒト、つまり「買い手視点」から見てみると真実が見えてきます。

■ 「顧客が求めるモノ」は イベントと入替 なのか

顧客が求めるモノ
顧客が求めるモノと企業が売りたいモノは必ずしも一致しません。むしろ乖離があるのが当然でしょう。企業はより利潤の多いモノを売りたいですし、顧客はよりコスト負担の少ないモノを求めますからね。

さらに多くは「顧客の求めるモノ」がわかりません。そこで企業は「これはよいモノだ」と思えるモノを提供していくことになるのですが、その提供するモノが本当に顧客の求めているモノなのかの検証があまりされていない現実があります。

経営学者のピーター・F・ドラッカー博士の有名な言葉に「ビジネスとは価値の交換である」というものがあります。企業と顧客がそれぞれに持つ価値を交換する、つまり企業はモノやサービスを、顧客はその対価をお互いに提供し交換することがビジネスだという意味です。

しかしここで
× 企業の提供する価値 ≧ 顧客の提供する価値
ではなく、
〇 顧客の受け取る価値 ≧ 顧客の提供する価値
でないといけないのに、いつまでも企業目線、自分たちの思うことを進めてしまう間違いがあります。

この部分(顧客が受け取る価値が高くないといけないこと)を改めて認識し、顧客目線をもっと取り入れる必要があります。

■ イベントと入替 からいつまでも変えていないことにその要因がある

変化を志向する
さて、落ち方に違いがある理由を考えてみます。
※現在の状況(コロナ禍)で「落ち方」と記載していますが、通常の外部環境ならば「伸び方」と捉えても同じです。

ここで過去の取り組み=企業が提供する価値が何だったかを見てみると、
・新機種を導入すること
・新機種を早く導入すること
・新機種を多く設置すること
・新機種の機種数を多くそろえること
・玉を出すこと
・玉を出すことを明確に伝えること(イベントの実施)
・雑誌に掲載されること(信頼性の担保)
・有名人が来店すること
といったことが挙げられます。これら以外にも接客や設備、顧客関係性なども企業の取り組みに当たりますが、上記8つの方が比較的即効性があることで多く取り組まれてきました。

当時はこれらの取り組み(提供する価値)が顧客の感じる価値と同じだったので実施の効果が得られていました。

しかしそのうちに顧客に「慣れ」が生まれ、同じ規模感では満足しなくなることで徐々にその効果が失われていきました。これはつまり「顧客の感じる価値が、これまで行ってきた施策から別のモノ、コトに代わっている」ということを意味しています。

いま、新台入替やイベントの実施に効果がないと感じている方、お店は多いはずです。その理由が「慣れてしまい新鮮味がないからではないか」ということは共通認識ですが、その先の思考、つまり「これら過去の施策は顧客の感じる価値からはズレているのだ」という認識が不足していると思います。「入替やイベントが現在の顧客が感じる価値とは言えないならば、何が該当するのだろうか」、これを考えないといけません。

ここで少し本原稿の趣旨とは違いますが、PiDEA WEBで過去、私が近いことをお伝えした連載があります。(以下抜粋)

~~~~~~~~~~~~~~~~~
「今この厳しい状況でも高稼働を維持している店舗や稼働を上げているホールも存在します。同じ商品構成(機種構成)でいったいどこにこの差が生まれる要因があるのか。それは「面白さを演出するプロデュース力の違い」なのです。

「最近のパチンコは面白くない」、よく聞く言葉です。これは遊技機そのものの面白さを指している場合もありますが、大きくは「パチンコという遊び」自体を指していると捉えられます。だから「パチンコという遊び、遊んでいるそのひとときを面白くさせよう」、そのように考えて改善をしてきたホールが高稼働を維持、または稼働を伸ばしているホール=強豪店なのです。」
(2015.11.15「ド底辺ホール復活プロジェクト」第43回より)
https://bit.ly/3nkXkM8
~~~~~~~~~~~~~~~~~

2015年の11月なので5年ちょっと前に寄稿した記事ですが、当時から「お店の差は、演出だ」とお伝えしています。

当時はMAX全盛で遊技機の設置台数等のパワーがまだまだ健在で、演出面の差があっても遊技機導入やイベントの開催で(瞬間的にではありますが)挽回は可能でした。

そして、その感覚のまま現在に至っているお店が非常に多いのではないでしょうか。

営業戦略には短期的視点と中期的視点があり、どちらか、ではなくどちらも必要です。しかしながらこれまでのパチンコ業界は短期的視点に注力してきました。極端な話、中期的な視点がなくともその場その場の入替とイベントで乗り切れていたからです。

しかし、繰り返しですが「時代は変わった」のです。中期的な視点による施策は結果まで時間がかかります。しかし始めなかったらいつまでたってもその視点によるゴールまでの距離(時間、期間)は減りません。

まずはこれまでの施策の効果が薄いことを認識して、「入替やイベントは”今の”顧客が感じる価値ではない」と考えるべきです。

■ パチンコ客は底堅いことに注目

顧客
ここに一つのデータがあります。
これは(株)SUNTAC社の提供する業界横断データTRYSEMに掲載されている月別稼働推移を抽出したものですが、注目すべき点があります。

TRYSEM
自店にこない遊技客を間接的に把握するために必要な市場統計。
しかし、母集団が偏りの大きい統計データでは、その意味が薄れます。
システムに依存しないTRYSEMなら、真の業界平均の提供が可能です。
https://www.suntac.jp/for-corporation/trysem/
 
30日間無料お試しができます。
お申し込みは以下のファイルをダウンロード、必要事項を記入して(株)SUNTAC社までFAXをお願いします。
TRYSEM30日間無料お申込みPDFファイル

 
サンタックのデータ

・コロナ禍以降、2019年の最も低い稼働の月(11月)を上回った月がない
・20円Sは9月→11月の稼働の落ち込みは同じような角度となっているが、4円Pはほぼ横這い(赤線)
・20円Sは8月→11月の落差がほぼ同じだが、4円Pは2020年のほうが2019年よりも少ない(黒線)

20円Sにおいては赤線と黒線が2019年も2020年もほぼ同じ傾き/長さであるということは季節指数の影響は全く同じだったことがわかり、逆に4円Pは2019年よりも2020年のほうが影響の受け方が少なかったことがわかります。

以上より一つの仮説として、

・20円Sはコロナによって減った顧客だけでなく、残った顧客も外部要因の影響で増減する
・4円Pは、コロナの後も残った顧客は外部要因の影響を受けにくく継続来店をしている

という見方ができます。

ここでいう外部要因には遊技機環境も含まれるので、現在の6号機市場を鑑みるに今後の20円Sは季節要因での上昇が機種的魅力の低減によって相殺され、稼働はあまり伸びないのではないか、と考えられます。

一方の4円Pは機種的魅力もスロットに比較すれば相対的に高く、また季節要因としても伸びていくでしょう。

では「4円Pに注力だ」という短絡的な思考ではいけません。「何に注力するのか」という志向が必要です。「4円P客が求める価値は何なのか」を考えるのです。

ここ何年もスロット優位が続き、たとえ全館イベントと謳っていても稼働が上がるのはスロットのみ、パチンコはいつもと変わらないというお店が多かったと思います。これは裏を返せば「パチンコ客はイベントを求めていない」ということであり、イベントでの放出が「顧客の感じる価値」ではないことを意味しています。

上記グラフでコロナ後のパチンコ客の落ち方がこれまでよりも少ないこと、これは「日常的にパチンコを打つ人」が多く残っていることを示していると思われます。「パチンコ客にはイベントよりも平常の営業を重視する」、この方向性を志向すべきでしょう。

■ まとめ

まとめ
今、稼働が厳しいのはコロナのせいでも遊技機のせいでもないです。自店の取り組みの内容が過去の認識のままで”今”に対応していないから、稼働が厳しいのです。

新台入替とイベントは必要です。しかし現在はそれらが主力という時代ではなく「プラスアルファ、補完的、サブ」という位置づけをすべきでしょう。

今回提案した方向性、「平常営業を重視する(「演出重視」も平常営業重視の一つ)」というのはデータを基にした仮設の一つでしかないですが、基本の考え方は「(時代、外部環境が)変わったのだから、変える」です。

「これまでの手法の検証、効果測定」をして、今後の戦略戦術を立てるようにしてほしいと思います。

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