「 従わない 」「従ってくれない」のはなぜなんでしょうね。
良かれと思って『こうしてほしい』と伝えても相手が動かない」、こういったことは往々にして起こります。
・そのままでは失敗の可能性がある
・こう変えると効率が良い
・この方があなたの成長につながる
このように考えてのアドバイスなり指示のはずがやってくれない、なぜ人は従ってくれないのでしょうね。
■ 3回目の緊急事態宣言、まったく抑制されず 従わない
3回目となった今回の緊急事態宣言、報道量も多く識者が様々な視点での意見を述べています。オリンピックに絡めた視点、東京の現状、大阪の医療体制などいろいろありますが、今回「気になるな?」と感じたのは、
・休業要請についての報道が少ない
・酒類提供と大型商業施設の自粛以外、ほとんど街はそのまま
ということです。
昨年の4月に初めて発令された緊急事態宣言下においては「何かまだよくわからない」という不安感もありほぼすべての店舗での休業がなされました。
しかし今回は業界、業種によって対応がまちまちであり、そしてほとんどのお店は営業を継続しています。もちろんパチンコ店も営業しています。
このことについて糾弾する動きはなく、むしろ「当然だ」というような空気感さえあると思います。
今回の緊急事態宣言は「人流を抑制する」という目的を掲げ、そのためにこれまでにクラスタが発生した事実のない業種にまで休業要請を行いました。しかしそれにはほとんど従っていないというのが現実です。
■ 行動抑制につながっていない現実
2020年4月の緊急事態宣言は初めてのことだったこともあり、とにかく人はすべての行動を自粛しました。政府の要請に思うところはあったとしても従う統制の取れた国民性、それによりGWはとにかく街に人がいない状況を作り、しっかりと「ステイホーム」ができていました。そしてその我慢の結果として解除後は確かに日々の感染者数も減少傾向となり「さあ、元に戻すぞ」という気持ちを持って活動を再開していたと思います。
その後秋まではGotoキャンペーン(トラベル、イート)もあり特にダメージを受けた外食や観光業で状況の回復が見られましたが、冬に入る季節から全国で感染者の増加、特に年末の東京都で感染者数が激増してしまいます。
初期の対応ではパチンコ店を含む遊興施設がやり玉に挙げられていましたがこのころには主に飲酒を伴う飲食店での感染経路が強く疑われており、そして「飲食店限定での」2回目の緊急事態宣言がなされることとなりました。
さらに年が明けて春先からは関西地区を中心に感染力が高いとされる変異型が猛威を振るうようになり感染拡大を抑えることはできず、現在行われている3回目の発令に至っています。
しかし残念ながら、現状は初回ほどの行動抑制にはつながっていません。
前回(2回目)は飲食店のみ、今回(3回目)は一都二府一県のみと限定的な緊急事態宣言となっており、これが大きな要因ではないかと思います。例を挙げると。奈良県では県内限定でのGoToイートキャンペーン展開を発表(※その後1日で撤回)、各地の観光地では対象地域外からの旅行客で盛況ぶりが報道されています。「対象となっていない」と感じるヒト、企業が多くいることで「全国的な」動きにつながっていないのです。
■ 従わない 心理
「こうしたほうがいい、こうしてほしい」という指示に従わない心理は以下の7つの要因に起因すると言われます。
① 指示する人を信頼していない
② 指示を理解できていない
③ 指示を受けた人の能力不足
④ 自分のせいにされたくない
⑤ 忙しくて考えられない
⑥ 納得できていない
⑦ 指示されたと思ってない
上記のうち、今回の件の要因は①、⑥、⑦が該当するでしょう。
(1)指示する人を信頼していない
「国民に我慢を強いている、その発言をしている人たちはどうなんだ。」、こういった気持ちが根底にある人も多いでしょう。国会議員による深夜の接待を伴う飲食、首相も含む閣僚の5人以上の会食及びそのことに対する答弁、国家公務員の大規模な歓送迎会からの感染など「指示を出している側が全く守っていない」感じてしまうような報道は枚挙にいとまがありません。
こういった報道を見るにつけ、「なぜ自分たちだけが」と思ってしまう感情が起こるのは当然です。
(2)納得できていない
「自分はしっかりと感染しないように対応しているし、今までも大丈夫だった。いつも通りの行動で何がダメなんだ。」という感情です。「1.指示する人を信頼していない」にも通じますが、行われた要請の妥当性に疑問を持ってしまい、その通りに行動することに強い抵抗感を持ってしまいます。
(3)指示されたと思っていない
「今回の要請は東京大阪京都兵庫だけ、ウチは関係ない。」、こう思う方もいるでしょう。実際に各地の観光地からは盛況ぶりを伝える報道が多くあります。初回は全国全業種に要請されましたが、2回目は飲食のみ、今回は限定地域のみということで対象とされなかった方は「自分も含んでいる」という意識が出にくい状況だと思います。
■ 問題点と解決方法
今回の問題点は「地域、業種ともに限定的な要請」と受け取られるような手法、発信だったことだと思います。「人流を抑制する」という目標は小さいメッセージとなり、逆に「限定的」という部分が大きなメッセージになってしまいました。
「指示に従わない」ことの解決方法は、
・しっかりと意見を聞く
・自分が考えている意図を明確に示す
・この行動により達成される目的をはっきりと伝える
とされています。
今回の緊急事態宣言では上記のことが少し弱かったせいで誤ったメッセージになったと感じます。
■ 日々の仕事において
今回は3回目の緊急事態宣言を例に「指示に従わないのはなぜか」を考えてみました。このことは日々の業務においても起こりうることだと思います。「こうしたほうがいいはずなのに、説明しているのに、なぜかそのとおりに動いてくれない」という場合は上記①~⑦の要因のどれに起因しているかを考え、3つの解決方法を行動に移してほしいと思います。
(了)