計数の理解でできること(8) 玉粗利管理は”アウト”の管理

■ 玉粗利管理は“アウトの管理”である

Author:林 秀樹 Hideki Hayashi
1972年生まれ、福井県出身。名城大学卒。遊技機販売商社勤務を経てパチンコ店経営企業へ。
エリア総括部長・調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。
2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな機械整備技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。
計数管理とマーケティングに強みを持つ。お問い合わせはこちらから。


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前回(割数管理の落とし穴)は割数管理では足りない視点があることを確認しました。
 
・割数は「比率」なので、この数字が大きくなるのは(割数が高くなるのは)分母しだい。
・出玉感は出ている玉=景品玉で創られる。
・割数という比率の数字よりも景品玉という実数の数字を重要視した方が良い

 
というお話です。
 
今回は景品玉管理に加えてもう一つ重要にすべき管理指標として、
・玉粗利管理
についてお伝えします。
 

 

■ 割数管理は“シメ”の管理



 
割数管理をする場合に重要な要素は「売上」と「利益率」です。
 
例えば必要な台粗利が3,000円だったとして、
・売上が20,000円なら利益率を15.0%にすればよい
(20,000円×15.0%=3,000円)
となります。
 
あとはその利益率に対応した割数を計算し、その割数になるスタートとベースを決めれば必要な台粗利(この場合は3,000円)が確保できることになります。
 
しかし現実には思ったような(計画したような)売上の確保が難しい場合もあります。こういったときは利益率を上げて対応することで、企業経営に必要な利益の確保を図ることになります。
 
例えば売上が15,000円に下がったならば、利益率を20.0%にすれば達成です。
(15,000円×20.0%=3,000円)
 
また、売上の低下がなかったとしても利益の増額を求められる場合もあります。この場合も利益率を上げれば達成できます。
 
・売上は20,000円で利益額を3,500円にしたいなら、利益率を17.5%にすればよい。
 →3,500円÷20,000円×100=17.5%
 
このように、割数管理で利益の増額(維持)を考えた場合は基本的に利益率の調整を図って対応します。よって、割数管理での重要な管理点は「利益率」です。
 

■ 玉粗利管理は“アケ”の管理



 
続いて玉粗利管理で考えてみましょう。条件は割数管理と同じく「台粗利3,000円」です。
 
割数管理では「売上×利益率」で台粗利を求めましたが、玉粗利管理の場合は「玉粗利×アウト」で台粗利を求めます。
 
例えば玉粗利を0.30円で営業すると決めた場合、
3,000円=0.30円×アウト
アウト=10,000発
となり、10,000発稼働させれば必要な台粗利の3,000円が確保できます。
 
あとは「どうすれば10,000発の稼働になるか」が重要な管理点となり、「アウトを伸ばすこと」が最優先ですべきこととなります。
 
また、この場合は玉粗利をそのままにしても、アウトを伸ばせば伸ばすほど利益が増えることもわかります。
 
この点でも、玉粗利管理では「アウトを伸ばすことで利益増を図る管理手法」であることが分かります。
 
「アウトを伸ばす」という事は、言い換えれば「お客様の支持を得ることを志向する」ことになります。
 
そのためにすべきことを考えると、
・イベントをする
・入替をする(機種構成を見直す)
・接客、設備等「お店の雰囲気」を良くする
・快適な遊技環境を提供する
・アケる
など、「トータルの店舗力向上」を目指すことに繋がります。
 

■ お客様が泣けば利益増の割数管理、お客様が喜べば利益増の玉粗利管理

 


一般的な小売店であれば販売価格はざっくりと「原価+利益」で構成されるので、とにかく売上を伸ばせば利益はそのまま増えていきます。そのため小売店では「とにかく、売上を伸ばせ」という管理をしています。
 
しかし、パチンコ店では売上の増加がそのまま利益の増加になるとは限りません。なぜなら出方によって日々の原価率が変わるので、売上が伸びても原価率が高くなってしまえば(出てしまえば)利益が残らないからです。
 
そのためこれまでのパチンコ店の管理は割数という「出方を数値化した指標」で、売上よりも利益そのものを管理してきました。
 
これはある程度、どのお店でも稼働がそれなりにあったからできたことです。しかし現在は違います
 
玉粗利管理の優れているところは、一般的な小売店の考え方(売上が伸びれば利益が伸びる)をパチンコ店でも応用できるとした点です。
 
つまり、アウトが小売店で言うところの「販売量」であり、「販売量が伸びれば(アウトが伸びれば)利益が増えていく」と捉えているのです。
 
販売量を伸ばすには、商品の質だけでなく、「お店に来てもらう努力」が不可欠です。この考え方はパチンコ店を本来の意味での「お店」と定義することに繋がり、「お店vs客、出す/出さない」という対決の構図から、「お店toお客様、いらっしゃいませ」というおもてなしの意識へと変化します。
 

■ 利益と稼働は相反しない

 


言うまでもなく企業経営において最も重要なことは「利益」です。
 
従来の割数管理での利益管理でできることは遊技機のメンテナンスしかありませんでした。
 
しかし玉粗利管理をすると、できることは遊技機のメンテナンス以外に様々なことがあることに気づきます。
 
従来、
・利益を求めれば稼働が下がる
・稼働を求めれば利益が減る
という考え方をする方が多くいました。これは、「出す、出さない」という二元論で考えるからです。
→出せば稼働が伸びるが、利益が減る。取れば利益が増えるが、稼働が下がる、と考えている。
 
玉粗利管理は、パチンコ店の営業を「出す/出さない」ではない部分、つまり「お店の魅力」で考えることで、稼働を求めれば利益が増えることにつなげる考え方です。
 
玉粗利管理は玉利をいくつにするかを考える管理手法ではなく、アウトをいくつにするかを考える手法です。そしてそのためにすべきことをすることがお店トータルの魅力につながり、結果的に利益を増やすことに繋がります。
 
割数管理の思考の出発点は「お店目線」、玉粗利管理の思考の出発点は「お客様目線」です。最終的な結論(利益の確保)は同じですが、思考の出発点が変わることで、「稼働が利益を創る」ことが理解しやすくなると思います。
 
計数管理をしっかりとマスターして、稼働と利益の両立を図りましょう。

 
 
 

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〇各講義の所要時間は3時間を目安に行います。
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〇最終講では全講義内容を基にした最終テストを実施します。

過去開催での受講後の感想(一部)はこちらでご覧いただけます。
 
内容、構成は以下のとおりです。
 
第1講 数字で分かること
・少数、分数、歩合、百分率
・割数と原価率、粗利益率の関係ほか
 
第2講 遊技機の管理指標とその意味
・差玉と出玉率、割数      
・S、B、BY、BA、TS、T1Yほか
 
第3講 営業状態の管理指標と意味
・Bサ、客滞率とシミュレーション
・割数、誤差玉、玉単、玉粗利ほか
 
第4講 利益と稼働の両立手法
・体感スタートとHCスタートの違い
・満足度を図る方程式「V=F÷C」ほか
 
第5講 シミュレーションと計画達成
・複雑なスペックのシミュレーション
・営業計画達成の必要十分条件 ほか
 
第6講 スロットの設定管理
・出玉率管理の論理的な考え方
・高設定の使用と利益確保の両立ほか
 

■ お問い合わせ

弊社代表の「林 秀樹」までご連絡ください。
【メール】 hayashi@ab-c.jpn.com
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