設定の入れ方を変えれば稼働は上がる
それは新台入替に頼らないで可能である
それはこれまで考えられていた手法からの転換である
それは簡単に可能である
もしも興味があるならこの先、少しお付き合いください。
■ 入替で変えようとしても変わらない
まずはこのグラフ(A店の稼働推移)をご覧いただきたいと思います。関西地方のお店(P400台/S250台)のスロット稼働のグラフなのですが、これを見てどのように感じたでしょうか。
「全国的な浮き沈みの影響をあまり受けず、稼働はまずまず順調に伸びているかな。」
このように思えるかもしれません。
しかしこのお店の機械代は粗利の40%以上かかっていると知ったら、中古は一切なく新台しか導入しないと知ったら、どう思うでしょうか。
これは2023年秋、私に依頼のあったお店の過去1年のデータです。
このお店はこれまで新台に頼る営業を続けてきて、それでなんとか全国的な流れと同様の稼働を維持してきました。しかしなかなか全国平均よりも低い稼働から上昇することはできず、大型入替で一時的に近づいても「すぐにまた元に戻る」の繰り返しだったようです。
これでは粗利はそれなりにあったとしても機械代がかかり過ぎて営業利益(粗利から販管費を差し引いた利益)は確保できず、結果、慢性的な赤字となっていたとのことです。
■ IN枚数の向上が利益を増やす
続いてこちらのグラフをご覧ください。こちらは関西地方のお店(B店、P300台/S200台)で、2022年の夏に相談を受けて10月からスロット業績改善のプロジェクトをスタートさせた店舗です。
このお店も上記A店同様に慢性的な赤字に苦しんでおりプロジェクトの目的は営業利益を向上させることでした。
慢性的な赤字なので「機械代は粗利の15%以下を厳守、計画粗利必達」という条件でのプロジェクトスタートでしたが、1年経過後の現在、利益率は低下しつつ台粗利は大きく向上しています。それまでの慢性的な赤字がウソのように、この赤字状態は3か月で脱しました。その要因はグラフのとおり、IN枚数の向上です。
最後にこちらのグラフです。関東地方の小規模なお店(C店、P160台/S80台)でこちらも2022年10月からスロット再生支援プロジェクトがスタートしました。
実はこのお店、2023年12月現在で未だスマスロが設置されていません。2022年7月以降の6.5号機も4台だけです。徹底的なローコスト経営、機械代は基本的に中古のみの導入で粗利の10%以下に抑えてそれなりの営業利益を残すお店でした。
しかしそれではいつまで経っても現状を変えることはできないということで支援依頼があり、入替に関する方向性はこれまで通り10%以下に抑えながら稼働の回復基調に乗せることができています。これにより2024年2月にはいよいよスマスロの導入を計画できるところとなりました。
■ A店と、B店&C店の違い
以上をまとめます。
A店・・・新台入替を戦略の中心において稼働は季節指数の通りの展開、維持が精いっぱい
B店・・・稼働の向上により粗利及び営業利益の向上
C店・・・稼働の向上により粗利及び営業利益の向上
A店は遊技機、B店とC店は稼働を中心に置いたという点が異なります。
B店とC店で取り組んだ内容、そしてこれからA店が取り組むことになる手法とはどういうものだったかと言うと、
・低稼働の台に焦点を合わせた
というものです。
具体的な手法の前に考え方の展開をお伝えします。
■ 企業活動の目的とそのための活動
企業活動の目的は「永続」です。永続のためには社員さんの幸せが必要であり、そのためには安定したプロフィット=利益の確保が求められるはずです。
安定した利益の確保には顧客の支持が必要で、その顧客の支持を得るためには顧客にとってのベネフィットを提供しなければなりません。
それでは、顧客が求めるベネフィットとは何なのか?を考えます。
※ベネフィット=物事から得られる利益のこと。金銭的な意味だけでなく 「恩恵」「便益」など心理的、機能的な利益も含む。「プロフィット」が直接的な利益を意味するのに対し「ベネフィット」はより広い意味での満足感を表す。
すべての基礎はお客様の支持からです。
■ パチンコ店におけるお客様のベネフィット
パチンコ店におけるお客様が求めるベネフィット、それはやはり出玉だと思います。
しかしすべてのお客様に出玉を提供することは現実的に不可能であり、それはお客様もわかっています。
つまり、
出ること → 出そうな気がすること
勝てること → 勝てそうな気がすること
出なければ支持しないのではなく、「出そうな気がする」から支持が得られるのです。
■ 調整の考え方
パチンコもスロットも基本的には同じで「出そうな気がすること」が求められます。しかしその調整(手法)の考え方は違います。
スロットにおいては大前提が「出方は全台バラバラ、良い台を探し出す」なので、お客様にこのベネフィットを提供することが支持を得る重要な管理点です。
■ お客様が求めること
「勝ちたい」があり、そのためにスロットにおいては「高設定を打ちたい」、「高設定を探し出したい」があります。大前提は「高設定が存在すること」。
上記の表はどちらも同じ出玉率なので同じ利益率になるのですが、13台中の設定④以上の台数が明らかに違います。こうなるためには稼働の格差を減らしていく必要があるのです。
稼働格差を減らすためには、「いかに低設定を打ってもらえるか?」を志向していかなければなりません。
「低設定を打ってもらう」ためには、「その台(機種)に、この店に高設定がある」という期待感を持ってもらわなければならないです。
逆説的に言えば、稼働の低い店は「高設定がない(と、思われている)」から来ないと言えます。
「高設定の期待感」を持ってもらうためには「予測し、的中し、出る」経験が必要です。
つまり稼働を伸ばすには高設定を投入していかなければならず、現実的にはそれができないから(企業存続のための利益が上手く確保できないから)低設定ばかりになっていることでしょう。
この改善、転換を図らなければ未来はないです。
■ 確率の収束は起こらない
理論的にはいずれ収束すると考えるので、放出後は沈む期間がありある程度の期間では理論通りの出玉率に収束するはずです。
しかし実際には上記グラフのように、放出後は細かい吸い込みを続けた後にまた放出が発生してしまい理論値を超える出玉率が続くことが多くあります。
これはその台、そのお店の期待値が低いことが原因です。つまり「出たのはたまたま、もう出ない」と思うから(思われるから)継続遊技もしないし、次の客もその次の客も少し打って止めてしまい、そのうちまたヒキの強い客が出してしまうからです。
この改善には「出そう」と思ってもらう必要があり、そのためには高設定を置いてお客様にその挙動を感じてもらうこと、いろいろな台にいろいろなタイミングで置いておくことが必要です。
■ 高設定を投入したら利益が減るのではないか
「高設定を投入したら利益が減るのではないか」、こう考えるかもしれません。
そもそも低設定しか使えなくなっている根本はどうしても噴く台が出てしまうので抑えるためだと思います。
しかし「出る台、噴く台は誰にもわからない」と考えるべきです。そうであるならば、「いかに抑えるか?」ではなく「いかに打ち込ませるか?」を追求すべきはずです。
低稼働台に高設定を入れておくことで稼働の平均化を図っていきます。もちろん高設定なので噴くことはありますが、基本的に低稼働なので出玉率が高くても差枚数的には全体に影響を与えるほどにはなりません。もちろん稼働がついてくれば設定を下げていくことになります。
■ 支援導入店舗の声
・関西地方 店長(30代・S台数160台)
「低稼働台に注力する」という考え方は新しくもあり基本でもあり、というものでしたが、実際にはこれまで行っていないことでした。取り組んでみれば徐々にその効果が表れ、これまでは「どうやって抑えよう?」だった思考が「どうやって出そう?」に転換し、日々の設定配分を考えることが楽しくなりました。
・中部地方 店長(40代・S台数140台)
「強みを伸ばす」が戦略の基本と考えて稼働を引っ張る機種に注力した営業をしていましたが、そういった機種は定番ばかりで結局いつまでも入替を繰り返していたこれまで。この考え方は裾野を広げることで結果的に中心機種も伸びていくことがわかりました。業績も上がり高設定を使いやすくなったことを実感しています。
・関西地方 マネージャー(20代・S台数200台)
難しいことは一切なく、それでいて効果を実感できています。用意してもらった帳票をみれば高設定を入れるべき台が明確で、このノウハウがあればこれからどこの店に異動しても必ず稼働と利益が伸ばせると思います。
■ IN枚数を伸ばす、高設定投入が可能となる設定管理の手法
基本的な考え方は以下のとおり。
これが全ての基本です。しかしこれが非常に重要で、この上でいろいろな手法を加えていきます。
グラフで示したB店、C店での取り組みはこの考え方を基に進めました。そしてどうなったかというのは冒頭のとおりです。機械代の増額等はなく、純粋に設定の入れ方を変えていってIN枚数が向上しました。
もちろんこの手法を軸に支援をさせていただいているお店に関しては100%、すべてのお店でIN枚数と営業利益の向上という結果が出ています。
この基本的な考え方にプラスしてそこからの展開がありますが、まずはこの手法を試してみて欲しいと思います。
「より確実に、100%成果の出せる深掘りした展開の方法」をご希望の方は以下のお問い合わせよりご連絡をいただければ、訪問または遠い場合はZoomにてお伝えさせていただきます。
■ パチスロ計数管理、誌上セミナー公開中
(基礎編) 計算編
目的:パチスロ計数の用語と計算式、それぞれの関係性を学び、そこから設定配分から求められる利益の計算ができるようになる。
【第1回】「出玉率の計算」:出玉率と割数の違い、加重平均という計算 (4/15 UP)
【第2回】「出玉率1%の変動コイン粗利」:出玉率1%で変動するコイン粗利を理解する(4/30 UP)
【第3回】「損益分岐出玉率」:損益分岐出玉率の計算式を理解する(7/4 UP)
【第4回】「利益の計算」:コイン粗利と損益分岐出玉率から利益を計算する
【第5回】「設定配分の計算」:設定の組み合わせで変化する割数、利益、IN枚数を計算する
【第6回】「営業計画達成」:計画している割数から要求される出玉率を求める
(実践編) 設定投入編
目的:設定の投入を変えることで業績が向上することを理解する。
【第1回】パチンコもパチスロもゴールは同じ、しかし調整手法は違う (4/16 UP)
【第2回】顧客ベネフィットは新台やイベントではない、設定である(6/4 UP)
【第3回】高設定を使うには
【第4回】周辺に強い店があるから、向上可能性が高くなる
【第5回】設定管理におけるKGI、CSF、KPI
【第6回】遊技機とイベントに頼らないパチスロ営業をする
※連載の順序、内容は変更する場合があります。
※基礎計算編と実践設定投入編は同時並行で更新していく予定です。