計数管理の理解でできること(3)高ベースは不満足要因になる

■ 高ベース は不満要因のモト

 高ベース 

前回までは「スタート以外の項目を下げて、その分スタート回転数を上げるべき」ということをお伝えしました。
 
しかし中には、
「ベースを上げることで同じ金額、例えば1,000円あたりの遊技時間が伸びるのでお客様の満足度が高くなるのではないか。」
と考える方もいます。
 
確かにベースが高くなればそれだけ長く遊べます。
 
■ 1,000円で遊技できる時間の計算方法
・250÷吸い込み率(B%)
で計算します。
※250という数字は4円パチンコにおいて1,000円で借りられる玉数
※吸い込み率は100%-ベース(B)で求められる
 
① ベース(B)30%のときの1,000円遊技時間
 250÷(100-30)≒3.57分
② ベース(B)35%のときの1,000円遊技時間
 250÷(100-35)≒3.85分
 
ということでベース(B)が高くなることで、確かに遊べる時間は伸びました。


しかし、そもそも「お金を投資して遊技している時間」が伸びたところでお客様が満足するでしょうか。
一般的にパチンコ遊技中の楽しい時間は大当たり中です。大当たりしていないときは楽しくない時間であり、この大当たりしていない時間が伸びたところで逆に不満が高まると考えられます。
 
もちろんベースを高くしてもスタート回転数を下げなければ、少なくとも不満ではなくなるかもしれません。しかしそのようなことは無理なことです。
 
どのような遊技機メンテナンスであれ適正な利益が必要なので、スタートを上げるならベースを下げなければならず、ベースを上げるならスタートを下げなければならないです。
 
同じ粗利金額を得るとして、
・ベースを高めるならスタートを抑える
・ベースを抑えるならスタートを上げられる
となります。
 
このとき初当りを得るまでに必要な投資金額は、実はどちらもまったく同じなのです。
 



また、ベースを高めると確かに1,000円で遊技できる時間は増えますが、逆に大当たりするまでの時間が長くかかってしまいます(前ページの「特賞までの時間」を参照)。
 
実は満足度は価値工学という考え方により「満足度=F/C」という計算式であらわすことができます。
 
Fとは「ファンクション(機能、便益)」、Cとは「コスト」を表します。分数の計算式で数値が大きくなるためには、分子が大きくなるか分母が小さくなればよいので、
 
・同じコストがかかる場合、より多くの便益があるほうが高まる(Fが大きくなればよい)
・同じ便益が得られる場合、より少ないコストのほうが高まる(Cが小さくなればよい)

 
といわれます。

これはどの業界であっても当てはまる計算式であり、パチンコに当てはめるならば、
・大当たりで得られる金額が同じならば(=同じ便益ならば)、少しでも短い間隔のほうが(=「時間」というコストが少ないほうが)満足度は高まる
と考えることが出来ます。
 
ところで便益の定義を消費金額の多寡ではなく、
・大当たりまでに遊べる時間
としたらどうなるでしょうか。
 
「大当たりまでの消費金額(=コスト)が同じで長く遊べるので、遊技時間という便益が高まるのではないだろうか」と考えるかもしれません。しかし実はそうではないのです。
 
一般に遊技客が楽しいと感じるのは大当たり中と確率変動中の出玉が増えるときであり、逆にストレスが溜まるのは通常遊技中の持玉を減らすときです。
 
大当たりまでに遊べる時間がいくら増えようとも、それは満足度よりもむしろストレスを増やす時間を長くするだけなのです。
 
このように、ベースを高めたとしてもそのままお客様の満足度アップにはつながらないのです。
<了>

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