毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
前回は「ヒトの成長で業績は変わる」というお話をお伝えしました。そして「ヒトの成長は、スキル面よりも精神面(内面)を重視すべきである」としました。
そこで今回は、現場の成長を促す「一般スタッフの上に立つ役職者」に焦点を当てていきます。
役職者はその職責により他者(部下)に対して業務を指示し、実行させる権限があります。これには当然それなりの強制力を伴っており、これにより役職者と一般スタッフには上下関係が生まれるのですが、よくある店舗の悩みに、
・指示しても徹底されない
・指示した以上のことはやってもらえない(臨機応変に対応できない)
というものがあります。
なぜこういったことが起こるのかというとそれは「指示(命令)だから」です。
人は外部からの圧力よりも内面からの圧力(=動機)の方が行動を起こす力が大きくなるのですが、「指示」というものは「やらせようとしている」のであり、内面的な動機にはなっていないからうまくいかないのです。
上記のような悩みがある場合、今一度「指示の仕方」を見つめてみてください。おそらく「作業内容の指示」になっているのではないでしょうか。指示を徹底させるには動機の部分、つまり、「何のためにこの作業をしてほしいのか(するのか)、この作業によりどういう効果が見込めるのか」といったことの説明で、作業の意味を理解してもらうことを優先すべきなのです。
「マネージャー」と「リーダー」、どちらも「他者の上に立つ立場の者」を指す言葉です。(会社や店舗によってはこれらが役職名に使われていることもありますが、ここでは一般的な名称としてください。)
似たような意味合いで使われることも多いのですが実はこれらは明確に違います。マネージャーは「管理者」なので管理するのが仕事、リーダーは「先導者、統率者」なのでチームを引っ張るのが仕事ということになります。
これまでのように右肩上がりの時代では役職者は指示したことをやらせる「管理」の仕事でも良かったのですが、ヒトの活用が重要な今の時代には「管理」ではなく「先導」をして導くべきなのです。
もう少し簡単に言い直せば、「管理ではなく、支援」、「作業の指示ではなく、作業をできるようにサポートすること」が役職者に求められることだと言えます。
現場の責任者は「上」ではなく「下」、「上から指示」ではなく「下から支える」という意識を持つことで、必ず現場力は上がっていきます。