毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
3大経営資源「ヒト、モノ、カネ」のうち、「モノとカネ」については資金の多寡によってどうしようもない部分があります。また、逆に言えば資金によってこの差は埋めることができるので、本当の意味での差別化の源泉とはなり得ない経営資源です。
しかしヒトは違います。ヒトはモノやカネと違い、真似されたり追いつかれたりといったことがないユニークな(唯一な)経営資源なので、ヒトの違いがそのままお店の違いにつながるのです。
ここでいう「ヒト」は経営資源としてとらえているので、業績を上向かせるには「ヒトの質」を向上させていかなければなりません。つまり「ヒトの成長」です。
ただし成長と言っても仕事に関するスキルをつけたり、知識をつけたりということではないです。もちろんこれらは必要なことなのですが、根本のところ、つまり「仕事に対する意識の成長」がカギになります。
ひとつの例として、時間に対する意識があります。最近は3大経営資源のヒトモノカネに情報、時間を加えて「5大経営資源」という言い方をすることもあるくらい重要な資源が「時間」です。
モノやカネはそれぞれによって持つ量が違いますが、「時間」はすべての人に共通で同じ量しか与えられていません。量が同じなら、「質」次第で差がつくことになります。このことに気づき、時間を効率的に使う、無駄にしないという意識を持つか持たないかは大きな違いとなります。
「決められた時間を勤務するのが仕事」と考えている限り、例え接客動作の研修を受けて習得したとしてもそれは上辺で取り繕っただけのことでしかなく、それなりの接客動作にはなるかもしれませんが、これでは言われた以上のこと(教えられたこと以上のこと)をすることは決してないです。
「もっと良くしたい、もっと良く出来るようになりたい」という気持ちが内面から湧き出れば、教えられなくても接客姿勢に変化が現れるものです。逆に言えば内面から「もっと良くしたい」という気持ちがなくスキルアップ研修を受講しても、なかなか身につかないものです。
新台の魅力の低下もあり設置機種いわゆる「モノ」での差別化は難しくなっており、「コト」即ちお店の雰囲気での差別化に目を向けるお店が増えています。お店の雰囲気は現場でつくられるので、これにはスタッフ力の強化が欠かせません。そしてスタッフ力の強化には、直接的なスキルアップの研修よりも意識の向上を図る研修を行うことの方が、まわり道に思えても成果を出す近道になります。
どうしても予算が足りないことや設備面の不備ばかりが気になってしまうものですが、そういったお店の大多数はお店の雰囲気がよどんでおり、店長を含めたスタッフの意識が非常に低くなってしまっています。
まずは意識を変えること、それを始めれば必ず業績は変わります。