毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
単店、小規模店舗の悩みと言えばやはり「粗利の確保に窮すること」だと思います。大型店やチェーン店のように入替で最新機種を大量に導入することができず機種の鮮度という点で大きく見劣りし、そのため稼働の維持も難しいので利益率を高くせざるを得ない、そしてさらに稼働の低下を招くという悪循環です。
こういった店舗で話を聞くと真っ先に出るのが次のような意見です。
・予算が足りず入替で魅力的な機種が導入できないことが問題である。
またその次には、
・高すぎる利益率が問題である。
という意見が続きます。
これらはまさに上記の悪循環につながる問題です。どこかで断ち切らないとなりません。
しかし会社を経営するには利益が必要です。例えば入り(売上)が低いなら出(費用、コスト)を下げて残る金額を維持または向上させる手法が必要であり、それでも足りないならば原価率を下げて利益を残さなくてはいけないです。つまり厳しい経営環境においては、上記2つのこと(予算削減、利益率アップ)は「しなければならない、必要なこと」なのです。
ここで視点を変えてみます。上記2つの「問題点」を「課題点」に置き換えてみましょう。
・予算が足りないという問題 → 予算の確保が課題である。
・利益率が高いという問題 → 利益率を下げることが課題である。
「課題」は「~をすべきである」と言い換えられます。つまり「予算の確保をすべき」であり「利益率を下げるべき」なのです。「問題」と捉えている限り態度が「受動的」であり、どこか第三者的で評論家のような、責任からの逃避になっています。
また「問題」と捉えると「自分では解決できない、こうするしかないこと」という発想になってしまいます。実際に上記2つについては概ね、
「予算が無いから仕方がない~」
「利益率が高いから仕方がない~」
という意見が続きます。
いま、しなくてはいけないことは「発想の転換、思考を変える」ことです。「自分ではどうすることも出来ない」ではなく、「どうすれば出来るか」を考えることが求められています。
今回、この課題を解決する策の一つは「売上の向上」となるでしょう。もちろん売上を上げるためには入替をしたり放出をしたりといった施策が有効だと考えられますが、入替や放出は元々の問題(課題)から「できないこと」です。できないことを考えても時間のムダであり、「どうすれば出来るか」を考えたほうがはるかに良い時間の使い方です。
ひとつの例として「3大経営資源」から考えてみましょう。3大経営資源とは「「ヒト、モノ、カネ」であり、このうち今回は「モノ(入替)、カネ(利益率)」が足りないのですが、まだ「ヒト」という経営資源が残っていることに着目してほしいところです。「ヒトの活用」こそ差別化の源泉であり、ヒト(の育成)に力を入れることが予算問題や利益率問題の悪循環を断ち切っていくキッカケになり得るのです。
今回は文字数も多くなったので次回に続きます。次回は「ヒトの活用(育成)」についてお伝えいたします。