毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
6月に入り少々暑い日もありますね。業界全体も熱気、活気が戻ってくるとよいのですが、残念ながら業界は厳しい冬の真っただ中、といった様相です。魅力的な新台が少なく、かといって既存設置機種だけでは現状維持が精いっぱいであり、遊技機頼みの営業ではなかなか業績を上げるための方策にも限界があります。
そこで、というわけでもありませんが、最近は販促(店内装飾)に改めて目を向けるお店も増えてきたと感じます。
しかし自店の発想だけでは変化が出せないもので、そのため他店視察でヒントを得ようと考えることになるのですが、視察に行って思うような着想を得るにはしっかりとした準備と振り返りが必要です。
先日、支援先のお店では「店内装飾の変更について」が議題となり、新しい発想を得るために他店視察をすることになりました。
そこで私が同一県内の販促関係で参考になるお店をいくつかピックアップして、後日視察に行ってもらうことになりました。
視察後の会議で報告会となったのですが、出てきた意見は以下のようなものです。
・稼働が良い
・きれい
・設備が良い
・立派
・豪華
・よく回している
・出ている
などなど、販促・装飾とは関係のない意見ばかりでした。
この視察の失敗は「明確なテーマの共有がなかったこと」です。視察店舗を決めたら後は順に回って「見るだけ」ではこのようになってしまいます。
このようにならないためには、例えば以下のようにテーマを決め、それを口頭ではなく紙(もしくはメール等)でしっかりと伝えておかなければなりません。また事後に必ず報告書の提出を求めることも必要です。
例)以下の点を視察する
① 景品コーナーで参考になった点
② 店内装飾、販促物で参考になった点
③ 駐車場(エントランス等)の演出で参考になった点
④ 入口から店内の導線で気づいたこと
⑤ 接客動作、配置、人数等で気づいたこと
⑥ 遊技機配置について気づいたこと
⑦ その他
ところで店舗視察と近い意味を持つものに「ストアコンパリゾン」というものがあります。これは主に小売業において競合する店舗と自店の違いを把握するためにその店舗の特徴や動向を調べることを指し、競合店を実際に見て違いを把握して自店の業績アップを図ることを目的とするものです。
ストアコンパリゾンの場合は基本的に「良い部分だけを見て」自店に役立てるための行動であり、他店視察の場合は「ダメな部分」も感じることで反面教師的な役立て方をする場合もあるのでその意味で厳密にいえば違いますが、それでも「自店の業績アップのために」行うのですから同じような視点を持つことが必要です。単に見に行くだけでは何も得られないです。
「百聞は一見に如かず」と言います。他人の話を聞いたり業界誌の店舗紹介ページを読んだりするよりも実際に目で見た方が身につきやすいと思います。だからこそ、その機会を無駄にしないために準備と事後のまとめに時間を費やしてください。