最近、知り合いのP店営業部長がお店を辞めた。
年齢は50歳手前の40代、国立大学の理系卒という学歴で業界歴は20年超。退職の理由は「ここでは自分は輝けない、もっと別の場所に行く」というものである。
地アタマの良さは感じられたが我が強く、ここまでの豊富な業界経験により少々頭が固い印象があった。
10年前、20年前で思考が停止しているという感じで過去の成功体験が忘れられないのだろう。
彼は今後、どうするつもりなのかと(外野ながら)心配である。
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今から5年前、2017年の店舗数は約10,000店だった。
2022年の現在は8,000店を割り込んだとの速報もあるので単純計算で2,000人の店長が職を失っていることになる。
その上位役職や部下も含めれば相当な人数がこの業界からの退場を余儀なくされていることになるはずだ。
退場とならずに横滑りで席をゲットできれば(他店舗に再就職できれば)いい。
しかしその席をゲットしたということは元々座っていた人が退場となるので、やはり計算の通り2,000席(2,000人)以上の業界関係者、しかもそれなりの経歴やポストだった方が退場となる。
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ここ何年もパチンコ業界では売上が伸びないのに経費はどんどん増えている現状がある。
そのため経営者はできるだけコストを抑えたいと考えている。
パチンコ店に限らないが、経営において人件費というものは大きなコストを占めているものだ。
だから経営としては生産性(労働生産性、人時生産性)を強く意識する。
過去のパチンコ店においては店長または管理者、もっと言えばクギや設定に関するスキルや知識のある人材はかなり重宝された。よって、この部分に携わるスタッフはそれなりに高給を得ていた。
しかし現在、この部分は決して専門の人材でなくても担当できる、できてしまう。
こうなると経営者もこの部分に特化した人材、それも高給取りを求めなくなる。ある意味でサラリーマン的な管理者でよいのだ。それもできるだけ若い人材を。
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求人倍率が1.0倍を大きく超えて1.34倍となっている2022年、この数字だけを見れば求職者有利な売り手市場だろう。
しかしそれは全体を俯瞰した数字であって個々の状況は違うのだということをもっとよく考えてほしい。
パチンコ業界は明確に成熟期というか、衰退期だ。空いている席(ポスト)はない。
あってもそれは若手のための席であり、40歳を超えたスキル持ちの席ではない。
経歴やスキルを持ち、これまでにそれなりのポストを持っていた人材ほど敬遠される。
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企業と顧客は互いに価値の交換をする。
そして顧客はその提供するモノ(多くは対価、つまりおカネ)以上の価値があると感じるモノを購入する。
多くはココの部分での認識を間違っているから業績が上がらない。「自分(企業)が提供するモノの価値が高い」ことが重要なのではなく、「顧客が高い価値を感じるモノを提供する」事こそ必要なのだ。
× 企業の提供する価値 > 顧客の支払対価
○ 顧客の感じる価値 > 顧客の支払う対価
でなければいけない。
この関係性はアナタと雇用主との関係性でも同じだ。
自分はスキルと経験を提供し、雇用主(企業)は対価として給与を支払う。
よって上記マーケティングを応用して考えると、
× アナタの提供できる価値 > 会社の提供する対価
○ 会社が感じた価値 > 会社の提供する対価
でなければならないことになる。
「自分のスキルは高い、知見もある、経験も人脈もある」と言っても、それを評価する立場がそのことに価値を感じられなければ何も意味がないのだ。
現在の多くの経営者は経験やスキルよりも「若さ」を重視する。そのことをよく考えたほうがいい。
今転職を考えている人がいたとしたら、自分の考える価値ではなく「相手から見た、価値」を客観的に考えるべきである。
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冒頭の部長、スキルと経験はある。
さてあなたが経営者なら採用するだろうか。
大多数の意見は「否」であろう。
それはつまり、アナタ自身についても他者からは同じ評価かもしれない。
結論。
できるだけ今のポジションと今の会社で頑張るべきだと思う。
<了>
■ 利益と稼働を両立する考え方
-稼働を上げるには、出さなければいけない
-利益を上げるには、シメなけれないけない
この思考は間違っています。
アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社では一貫して「利益を増やせば、稼働は伸びる」とお伝えしています。
なぜそう言えるのか?
その答えはこちらをご覧ください。
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