コンサルティングの現場より Vol.139】計数管理(3)

毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」

ABC㈱林が日々支援先を訪問してお伝えしていることや課題、問題とその解決などを2~3分で読めるように短いコラムでまとめています。
このコラムは毎週水曜日に更新します。

 

このコラムページとは別に「パチンコ計数管理」というページがあり、そこではアミューズメントジャパン誌に連載していた記事(全32回)をアップしています。

内容は、
・基礎:基本用語と計算式の理解
・応用:基礎編で理解した計算式を使っての遊技機シミュレーションの組み方の理解
・実践:日々の遊技機管理や放出タイミングの設定、月間進捗管理の理解
といったものでなかなかのボリュームがあります。(汗

前々回から4回に分けて「計数の考え方」をお伝えしており、3回目の今回は前回に引き続き「割数の考え方」についてです。

前回は割数を「利益を見る数値ではなく出し方を見る数値に捉え方を変えて欲しい」ということをお伝えしました。このように考えることでお店視点の考え方からお客様視点の考え方に変えることができるというものです。

しかし割数は絶対的な指標ではありません。見方、使い方を間違えるととんでもないことになります。

そもそも割数とは、「お客様が借りた玉の何倍の玉が交換されたか」を示す指標で、計算式は「景品玉数÷売上玉数(×10)」です。あくまで比率を表すのであり、これが高いからと言ってお店の活気につながるとは限らないのです。

例えば次の2店舗で考えてみます。

A店) 4円P200台 13.2割分岐 台売上15,000円 15.0割営業 利益率▲13.6%
B店) 4円P320台 10.0割分岐 台売上27,000円 8.4割営業 利益率16.0%

上記の2店舗を比較すると割数的にはA店の方が高くまた赤字営業でもあるので相当な出し方をしていることになります。

しかし実際の店内の出玉感はB店の方があると思われます。理由は景品として交換した玉数の違いです。

景品に交換した玉数は割数の計算式(割数=景品玉数÷売上玉数×10)を変形させると導き出せます。つまり「景品玉数=売上玉数×割数÷10」で計算できるので、

A店) 景品玉数=(15,000円÷4円)×15.0÷10=5,625個
B店) 景品玉数=(27,000円÷4円)×8.4÷10=5,670個

ということで、台あたりに交換する玉数はB店の方が多くなります。

そして総台数はB店の方が多いので、お店全体としてはA店112万5,000個、B店181万4,400個が交換される=ホールに出ている玉数となります。

割数的に考えるとA店は売上玉の1.5倍(150%)の玉を出し、B店は売上玉の0.85倍(85%)しか玉を出していません。

しかしここで重要なのは「売上玉は吸い込まれる玉なのでお客様には見えない、見えるのは積んでいる玉だけ」ということです。つまり出玉感の元は「景品玉」であり、決して割数ではないのです。

割数は比率を見る数字です。

しかし実際の営業では比率よりも「実数」の方が重要です。特に出玉感は実際に出ている玉のみで感じるものなので、割数を高くしてもそもそもの基準、ここでいえば売上玉が少なければ体感できる出玉感は低いものになってしまうのです。

割数は数字で出方を確認できる便利な指標ですが、それと同時に景品玉数を見るようにしてほしいと思います。そうすることで比率ではなく実数としてのホール内の出玉感、機種ごとの出玉感を把握することができます。

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