【パチンコ計数管理 基礎編2】アウトとセーフ、差玉と出玉率(月刊AJ連載2)

アミューズメントジャパン

パチンコ計数管理

この文章は月刊アミューズメントジャパン誌にて連載されている「基礎から再確認、計数管理」の第2回、2019年7月号に掲載されたものです。

改めてウェブ上にアップすることで連載内容のおさらいになるかな、と思いますので、今後も定期的にアミューズメントジャパン誌の連載をアップしてまいります。

■ 第2回 アウトとセーフ、差玉と出玉率


 
皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林秀樹と申します。

先月号より「基礎から再確認、計数管理」と題して、パチンコ計数管理の誌上セミナーを連載させていただいております。今月号もよろしくお願いいたします。

前回はデータの基礎知識として「一次データ」について学習しました。

今回からこの一次データを基にして、各種計数管理項目である「二次データ」について学習していきます。2回目の今回はアウトとセーフ、および差玉と出玉率について理解を深めていきましょう。

■ アウトとセーフ


 
アウトとセーフはパチンコ計数の基本となる用語です。

この2つのデータを基に様々な計数管理項目が算出されるので、しっかりと理解しておきましょう。

【アウト】

お客様が発射した玉数のことをいい、盤面上の入賞口や役モノに入賞した玉もすべてアウト玉として計数されます。

パチンコは、ハンドルを回して打ち続けた場合に発射できる玉数(アウト玉)のスピードはお客様によって差が生じることはなく、アウトは遊技時間に比例して増えます。

遊技機が発射できる最大の玉数は遊技機規則において「1分間に100個を超える遊技球を発射できるものでないこと」と定められており、止め打ち等をしない限りお客様によって変化することはありません。

つまり1時間で最大6,000個のアウト信号が出力されることになり、このことからアウトはお客様の遊技時間を表す数値といえます(アウト6,000なら60分=1時間遊んだ、アウト21,000なら210分=3時間30分遊んだ、など)。

【セーフ】

お客様が玉を打ち出して盤面上の入賞口に入賞すると規定の玉が払い出されます。

この遊技機が払い出した玉数のことをセーフといいます。

■ 差玉と出玉率

では、このアウトとセーフを用いた計数項目として「差玉と出玉率」をみていきましょう。どちらもパチンコ計数管理の基本となるものです。

【差玉】

計算式は、

・差玉=アウト-セーフ

であり、お客様が発射した玉数から遊技機が払い出した玉数を引くことでお客様の手元に残っている玉数を知るデータとなります。

差玉がマイナスのとき(アウト<セーフ)は放出、プラスのとき(アウト>セーフ)は吸い込みです。

【出玉率】

計算式は、

・出玉率=セーフ÷アウト×100

で、玉の出具合を表す数値となり単位は「%」です。

お客様が発射した玉数に対して、何倍の払い出しを行なったかを知るデータとなります。

出玉率が100%を超えると(アウト<セーフ)放出、100%を下回ると(アウト>セーフ)吸い込みとなります。

これらを数字で確認しましょう。下図をご覧ください。
アウトとセーフ、差玉と出玉率

アウト20,000発、セーフ22,000発なので、

差玉  20,000-22,000=▲2,000
出玉率 22,000÷20,000×100=110%

という計算結果となります。

差玉は「お客様が打ち込んだ玉数-払い出した玉数」という計算であり、払い出し玉数の方が多ければ▲(マイナス)の数字なのでお店がマイナスだとわかります。

一方出玉率は「払い出した玉数が、お客様が打ち込んだ玉数の何倍なのか」であり、「出た玉の比率」をお店からの視点で計算しています。

当然セーフの方が多ければお客様が打ち込んだ玉数よりも多く払い出しているので放出です。

差玉と出玉率、これらはどちらも「お店の玉の出方」を確認する数値です。

「どのくらい出ているのか」を実際の数値で見るのが差玉、打ち込んでいただいた玉数の何倍なのかと比率でみるのが出玉率、となります。

差玉と出玉率の計算は「アウトを基準」としてお店視点の数字を見ています。

ここでこれらの計算を逆にしてみると面白い数字が見えてきます。

・差玉の逆の計算:セーフ-アウト=22,000-20,000

なので「2,000」という計算結果ですが、計算のルールとして「+」は省略しているだけなので正確には「+2,000」です。「誰がプラスなのか?」といえばもちろんそれは「お客様が」です。

続いて出玉率です。

・出玉率の逆の計算:アウト÷セーフ×100=20,000÷22,000×100

なので計算結果は「90.9%」となり、これは「払い出した玉の何倍の玉を打ち込んだか」を見ています(この計算の数字では、払い出した玉の0.909倍=90.9%の打ち込みがあったとなる)。

これももちろん「お客様が」となります。つまり計算を逆にすると「お客様視点の数字、お店視点の真逆の数字になる」のです。

「計数管理」という言葉を聞くと、「ややこしい」、「難しそう」、「計算は苦手」と敬遠する方も多いのですが、遊技機の状態を把握し適切に運用していくためには、計数管理の知識はとても重要です。

この誌上セミナーを通してしっかりと理解を深めてほしいと思います。

【今回のポイント】
・差玉は出方を実数で確認する計算、出玉率は比率で確認する計算である。
・お店側視点でとらえる数値である。
・計算を逆にするとお客様視点の数値に変わる。 
 
(了)

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