マーケティング塾(36):「事業のインフラとケイパビリティ(能力)を構築する(5)」

マーケティング
マーケティング にとって重要なことは顧客のニーズを把握すること。しかしそれだけでは不十分であり、「事業のインフラとケイパビリティ(能力)を構築する」、つまり自社の事業形態の確立とその能力を最大限に発揮する3として「顧客、自社、事業パートナー」の視点で考え、投資すればよい。

前回は「1.顧客のマネジメント(CRM=カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」での3つの実践プログラムのうちの第3のステージである「ターゲット顧客との永続的な関係を築く」方法を確認した。マーケット・インテリジェンス及び顧客情報の洞察についてである。

今回は「社内の経営資源をマネジメントする」についてみてみよう。

■ 社内の経営資源をマーケティング する

経営資源
顧客とのリレーションシップ(CRM)に加えて社内の経営資源(リソース)についても効果的(効率的)なマネジメントが求められる。この考え方は一般に「IRM(Internal Resource Management):社内経営資源のマネジメント」と言われており、その内容は以下のとおりである。

・業務別に管理していた経営資源を一元管理する
・別個のプラットフォームではなく共通のプラットフォーム上で運用する
・管理するのはすべての社内資源である
 →人的資本、運転資本、財務資本
・業務全般の改善を目指す
 →運転資本の増減、サイクルタイムの短縮、もってオペレーションの改善を目指す

このような共通のプラットフォーム運用にはERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム)やSCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)のシステムを活用する。ERPやSCMのソフトウェアを用いると、例えば特売セールが収益(※売上というすぐにわかる指標ではなく「残った利益」と考えればよい)にどのような影響を与えたかがわかる。収益の低下圧力となる原材料の調達コスト、部品のコスト、配送のコストなどがどのようになされているかを確認でき、どの部分がボトルネックになっているかが一目でわかるのである。

一例を挙げよう。
スウェーデンにエリクソンという会社がある。携帯通信インフラの世界シェアトップの企業だ。エリクソンはIRM((Internal Resource Management:社内経営資源のマネジメント)を実践することで、それまで(巨大企業にありがちな)機能別組織形態によるセクショナリズム(集団・組織内部の各部署が互いに協力し合うことなく、自分たちが保持する権限や利害にこだわり、外部からの干渉を排除しようとする排他的傾向のこと)だった組織慣習から一枚岩の組織へと大きく前進した。

エリクソンは各部門に分かれていた管理を一元化した。具体的には、
・総勘定元帳
・買掛金
・売掛金
・受発注記録
・代金請求
・販売
・マーケティング
・原材料の調達
・製品データ
・工場のオペレーション管理
・製造管理
など「エリクソンのすべて」を一つのシステムで俯瞰できるようにしたのである。エリクソンはこの統合により大幅な業務効率の改善を成し遂げ、それまでの携帯通信インフラ事業世界首位だった華為(ファーウェイ:中国)を抜き去り、業界首位となっている。

エリクソンが成し遂げた実績は以下の通り。
・納期の順守率、98%以上に向上
・注文処理のリードタイムをそれまでの1時間から10分に短縮
・調達のリードタイムをそれまでの4時間から5分未満に短縮

■ マーケティング のカギ、IRMを導入する

事業の割り振り
IRM((Internal Resource Management:社内経営資源のマネジメント)はバリューチェーンを効果的に機能させる上で欠かせない要素だ。IRMは幅広い機能や業務がカバーできるのである。

IRMを活用することでバリューチェーンの上流に位置するサプライヤーと、下流に位置する流通業者や小売、そして顧客との間で情報を共有することができ、バッファ(緩衝、つまりムダ)を削減し、もって最終顧客と企業双方の利益に資することになる。

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ここまで、顧客のマネジメント及び自社のマネジメントを論じてきた。
次回は「事業のインフラとケイパビリティ(能力)を構築する」の3つめ、「事業パートナーのマネジメント」について述べていくこととする。

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