マーケティング塾(33):「事業のインフラとケイパビリティ(能力)を構築する(2)」

 マーケティング
マーケティング において「事業のインフラとケイパビリティ(能力)を構築する」、つまり自社の事業形態の確立とその能力を最大限に発揮するには3軸、すなわち「顧客、自社、事業パートナー」の視点で考え、投資すればよい。

前回は「1.顧客のマネジメント(CRM=カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」についての概略を示した。そしてその実践プログラムには3つのステージがあるとして提示しており、今回はそのうちの第一のステージ、すなわち「ターゲット顧客を特定する」についてみていくことにする。

■ マーケティング ターゲット顧客を特定する方法


ターゲット顧客を特定する主な施策は①まずはターゲット市場を見極め、②次にその市場で自社の顧客候補を選別することである。

(1) マーケティング のターゲット市場を見極める

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)に限らずマーケティングはすべて、ターゲットとなる市場を見極めることから始まる。

経済のグローバル化、インターネットの進展により現在は競争が、それこそ1990年代=20世紀とは比べ物にならないほどに激化している。市場は細分化が進み。それにより個々のセグメントがどんどん小さくなっているのである。

しかしインターネットの進展はデジタル化の進展の賜物であり、それが幸いして、デジタル技術の適切な活用により顧客のセグメント化、それも精微なセグメント化(マイクロ・セグメンテーション)は1990年代よりも非常に簡単だ。

対面販売の場合、顧客のセグメントにはヒアリングや書面記入という手法を取る。これに対してオンライン販売の場合、
・居住地(国だけでなく子細な住所まで)
・氏名
・年齢
・属性(会社員、個人事業種等)
・家族構成
・用途(個人or企業)
・趣味嗜好
・同時に必要としている周辺機器
・予算
などなど、幅広い情報が顧客の意志により提供される。これによりレコメンドシステム(顧客一人一人におススメの商品や情報を提供するウェブサービス。Yahoo!やamazonの広告枠が有名)が可能となっている。

(2) 市場での自社顧客候補を選別する

ターゲット市場が定まったら、次にその市場で自社の顧客を絞り込まなければならない。そのためには改めて「自社の“買い手”は誰か、どういった属性か」を考え直す必要がある。

市場の顧客層の中から自社の顧客を特定するには、次の二点を考えてみるとよい。
・その顧客層には、自社との緊密なリレーションシップを望んでいる者はいるか?
・その顧客層すべてに緊密なリレーションシップを構築するのは、自社にとって好ましいか?

「顧客の価値は決して均一ではない」、このことは多くの企業は認識していることであろう。だからこそ企業は顧客をその価値に応じて分類し、「より高い価値」のある顧客に注力すべきである。

■ 顧客の選別


しかしここで多くの企業が間違うポイントがある。それは、
・顧客の価値とは売上ではない、収益である
という点の認識が足りないことだ。

このことを図で表すと以下のようになる。赤枠内が最も注力すべきセグメントであることは明白だが、青枠内のように売上(個数)が少なくても将来の投資をすべきセグメントがある。決して売上や販売個数のみで測れるものではないことがわかるだろう。

顧客価値は売上ではなく利益で測る。それは「探索コスト、到達コスト、維持コスト」等を勘案しての最終的な利益のことである。

そしてその図った価値を基に以下のように分類すべきである。

・プラチナ顧客(超優良顧客、上位1%)
・ゴールド顧客(優良顧客、上位5%まで)
・アイアン顧客(上位顧客、上位20%まで)
・リード(通常及び見込み客、残り80%)

多くの企業は「とにかく動け、顧客アクションを起こせ」的な営業展開を求める。しかしそれは「真の顧客価値」的観点からは推奨されるべき施策とは言えない。

企業は価値の大きいと考えられる顧客候補に対してのみ、高いコストを支払ってでも到達度を高め、取引を結ぶように努力しなければならない。全ての顧客候補に一律の行動を起こすことはバカげている。

冷静に顧客候補を分析し、選別する。そして以下のような思考で顧客と向き合うのである。

・売上高の80%を占めるのは全顧客数の20%に過ぎないことを知る。
・売上高の90%までは、以前からの継続取引関係にある顧客からである。
・多くの場合、営業及びマーケティング の予算は既存顧客以外に向けられてしまっている。
・全顧客の上位30%までは、その上位の層に移行する可能性を持つ。
・上位の層に移行するのは満足度が高い時である。その満足度は価格ではない部分である。
・顧客のうち2%が上位の層に移行すれば、売上高は10%増、利益は50%増となる。

■ CRMとLTV


顧客価値というものは一人が(一企業が)1回購入することでの価値ではなく、将来に期待される購入の積み重ねによって決まる。これを「LTV=顧客生涯価値(ライフ・タイム・バリュー)」という。算出方法は「その顧客から期待できる、生涯にわたる累計売上高から、その顧客を獲得し維持するための累計コストを差し引きする」である。

ところでLTVは「一顧客」だけではない。その顧客が他の顧客を紹介することもLTVに含まれる。常連客=ロイヤルカスタマー、プラチナ顧客に関してはその影響力によりその顧客個人の生涯価値以上に価値をもたらす存在となるので、だからこそ企業は常連やプラチナ顧客の育成に努めなければならない。

企業は、「平均的なLTV」ではなく「個客」のLTVを算出すべきである。そうすれば、顧客(個客)それぞれにどれだけ投資すべきかを判断できる。

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次回は「第二のステージ:特定したターゲットのニーズを満たす」について述べることにする。

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