マーケティング塾(32):「事業のインフラとケイパビリティ(能力)を構築する(1)」

 マーケティング
「 マーケティング とは?」と難しく考える必要はない。
「製品を作り、買っていただく」、これが企業の行うすべてである。(※サービス業であっても同様。「製品」ではなく「サービス」、「作り」ではなく「提供し」となり、「買っていただく」ではなく「使っていただく」となる。) しかし現在、企業の行うことはこれだけが全てとは言い切れない。もちろん究極の目的は冒頭に記載した通りかもしれないが、その目的を達成するための行動は大きく広がった。

「製品を作り、買っていただく」、この発想が企業の思考の中心だった時代には製品やコミュニケーションは企業から顧客に向けて、ほとんど一方的に流されていた。情報チャネルも流通チャネルも限られていたし、何をいつ、どのように届けるか(売るか)は企業の戦略次第であった。

だがしかし。
今日ではインターネットの普及によって双方向(=インタラクティブ)コミュニケーションが実現している。顧客が企業について多くの情報を入手し、企業の側でも充実した顧客情報を蓄積することが可能になった。

企業側はその豊富な情報を活用し、顧客や事業パートナーとのリレーションシップをより確かなモノにできる。そしてそれを土台にして新しい事業機会を探ったり、より盤石な競争優位を手に入れたりすればよい。

このような「顧客、事業パートナーとのリレーションシップ」を効果的、効率的にマネジメントするためには事業インフラとケイパビリティ(能力)を刷新していくことが欠かせない。「刷新」というと難しく感じるが、要は「事業インフラを整備し、ケイパビリティを高めよ」ということである。

では、どうすれば事業インフラを整備しケイパビリティを高めることができるだろうか。実はこれも難しくない。企業のリソースを次の3分野に投資すればよい。

1. 顧客のマネジメント(CRM=カスタマー・リレーションシップ・マネジメント
2. 社内経営資源のマネジメント(IRM=インターナル・リソース・マネジメント)
3. 事業パートナーシップのマネジメント(BPM=ビジネス・パートナーシップ・マネジメント)

この章では事業インフラを整備しケイパビリティを高めるための3つのマネジメント項目とその活用方法を見ていく。

ここで勘のいい方ならピン!とくるだろう。
すなわちここでも視点は3軸=顧客、自社の経営資源、事業パートナーとなっているのである。

それでは順番に見ていこう。まずは「1.顧客(CRM)」である。

■ 顧客のマネジメント(CRM=カスタマー・リレーションシップ・マネジメント


企業は例外なく以下のような「優良な」顧客を確保したいと考える。

・他社よりも価格が高くても、多額の購入をしてくれる顧客
・自社製品の「伝道者」として、同僚や家族、友人などに自社の情報や製品を紹介してくれる顧客
・組織や家庭内で「定番のブランド」に据えてくれる顧客
・新発売の製品やサービスをいち早く使って、改良の意見を発してくれる顧客
・サポート、サービスなどの仕組みや施設を十分に活用してくれる顧客

このような顧客の心を捉えて末永い関係を築こうと、多くの企業が製品マネジメントから顧客マネジメントに重点を移し、顧客との取引やコミュニケーションを円滑化しようと努力している。

1950年代~70年代、つまり工業化時代=大量生産時代には顧客との緊密な関係を維持するには多大なコストが発生した。それが妨げとなってリレーションシップの構築、サービスのパーソナル化はともに遅々として進まなかったものである。

しかし現在は違う。顧客とのリレーションシップは過去とは比べ物にならないくらい、低コストで築けるようになっている。もちろんインターネットの発展の恩恵だ。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)を成功させるためには以下の5つの条件が挙げられる。(アーサー・M・ヒューズ:ACS社、元上級副社長の提言より。)

① マーケティング プロセスが円熟している
② 顧客の住所、氏名、購買行動を容易に把握できる
③ リピート購入に関するデータが「販売時点」で入手できる
④ データベース構築とデータマイニング(データの深堀り)に必要なスキルを持っている
⑤ 購入頻度の高い顧客に向けて特典プログラムを用意し、お互いのベネフィットにつなげられる

これらの条件を満たす企業はそれこそ枚挙にいとまがない。一例を挙げると自動車メーカー、ホテル業、航空会社、金融業などは完全に上記条件を満たしての販売構造を持ち、さらには一部の小売業とて「会員システム」などで条件を満たすことは可能だ。

なお小売業においてはやや注意が必要である。上記条件を満たすとしても小売店として扱っている商品の利幅が低い場合は、関係構築のコストと企業の得る利潤のバランスが取れないことがある。コモディティ用品(日用品)やソフトドリンク、調味料などが該当する。

逆に高額過ぎて購買頻度が極端に低い、顧客数が非常に限定される商品においても同様に関係構築コストと利潤が見合わない場合がある。グランドピアノや有名芸術家の作品が該当する。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の実践プログラムは次の3つのステージに分けられる。

第一のステージ:ターゲット顧客を特定する
第二のステージ:特定したターゲットのニーズを満たす
第三のステージ:ターゲットの顧客との永続的な関係を築く

それぞれの主な施策は以下の通り。

第一のステージ:
・ターゲット市場の見極め
・ターゲット顧客の獲得

第二のステージ:
・顧客価値を顧客ベネフィットに変える
・チョイスコンテクストに合わせた製品、サービスの提供

第三のステージ:
・マーケット情報の収集
・顧客情報の洞察

それでは次回からは3回に分けてCRMそれぞれのステージを確認する。

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