マーケティング塾(31):「事業アーキテクチャを設計する(4)」

事業アーキテクチャ 
事業アーキテクチャ 、すなわち企業が起こす行動の構造は大きく4つに分類できる。
・基本モデル(基本的な構造)
・BtoCモデル(消費者への販売)
・BtoBモデル(企業への販売)
・CtoCモデル(消費者自らが販売)

ここまでの3回では「B」すなわち企業(Business)が主体となって行う事業モデルを確認してきた。2000年あたりまでなら事業モデルの解説としてはここまでで終わっていたかもしれない。

事業アーキテクチャを設計する(1)
事業アーキテクチャを設計する(2)
事業アーキテクチャを設計する(3)

しかし2020年代に入り、いや2000年代中ごろから急速に拡大してきた事業モデルに「C」すなわち消費者(Consumer)が主体となっているビジネスモデルがある。今回はその代表例である「CtoCビジネスモデル」を確認する。

■ 事業アーキテクチャ におけるCtoCとは


最も身近なCtoCモデルはインターネットオークションやネットフリマの存在である。その他には空き部屋の貸し出しやUBER(※UBER EATSではない、配車サービスのUBER)もCtoCと言える。消費者自身がモノを消費者に販売する、または消費者の空き時間を消費者に提供するというビジネスモデルである。

「消費者が直接、他の消費者に販売する」、そこには企業の入り込む隙が見いだせないと感じる方もいるかもしれない。しかしそれは間違いだ。なぜなら、
・そのプラットフォームを提供するのは企業である
からである。

CtoCビジネスは昔からあった。それはイベント会場などにあるフリーマーケットを想像すればわかるだろう。現在はオンライン、インターネットによりリアルの会場が必要なく、かつ全世界という市場でそれが行われていると考えればよい。そしてリアル会場であれオンラインであれ、必ずプラットフォームを提供する企業がそこには介在しているのである。

■ CtoCビジネス拡大の背景


バブル崩壊、リーマンショック、日本における「失われた30年」という厳しい経済状況のなかで育った世代は「モノ」の所有欲が低く、「シェアする」ということに抵抗が少ないといわれる。バブル世代以前のグングン伸びていた時代を経験した世代とは違い、この世代では節約意識が根付き、価値観が「所有より利用」という流れに変化しつつあるといえる。相次ぐ自然災害や地球温暖化などの環境問題に伴い、エコ意識の高まりもあり、無駄に多くのモノを持たないシンプルな暮らしを好む人も増加傾向にある。

少子高齢化により労働生産人口が減少していることも見逃せない。これにより企業の「空き時間を利用した労働力」の需要も増加傾向である。超高齢化社会を目前に介護や看護などの需要が高まる一方で、核家族化など世帯構造の変化に伴う家事、育児の担い手も不足し、働きたい人や有資格者が、時間などの制限により能力を活かせない現状もある。

こうした背景のなかで、モノや空間、移動手段やスキルなどを個人同士がシェアすることは、合理的で時代に合った手段として今後も浸透していくと考えられる。

■ CtoCのメリットとデメリット


プラットフォームは企業が提供するが、その主体は消費者同士というのがCtoCビジネスモデルであり、もちろんメリットもあるがデメリットもある。ここではそれらを確認してみようと思う。

・メリット

企業が介在しないことで間接費用が少なくなるので安く、また直接取引なので早くモノやサービスが手に入ること(また、販売できること)は大きなメリットといえる。またそれらに加えて民泊のAirbnbやライドシェアのnottecoなどシェアリングエコノミー領域のサービスには、その場所その土地でしか味わえない文化的価値や、マッチングした人同士の出会いや交流など、単なるモノやサービスの取引を超えた付加価値が存在するともいえる。

・デメリット

CtoCのなかでも特にネットオークションでは、プラットフォーマーが一定のルールを規定しているもののトラブル発生時の責任を負うことはしないことを規約に定めている場合が多く、取引は売り手と買い手相互のモラルに委ねていることが多い。それに付随して、評価システムがあるプラットフォームでは信頼が得られるまでに、買い手から取引相手として選ばれず取引が成立しづらいことも挙げられる。

また決済方法にも注意する必要がある。売り手が「買い手からの入金を確認してから発送する」というステップには、モノやサービスをもらえる保証が必ずしもあるとは言えない。そのため、大手ネットオークション「ヤフオク!」では自社の「Yahoo!ネットバンキング」を通じてプラットフォーマーが間に入り先に代金を預かって、売り手の発送と買い手の報告を受けてから取引を成立させる「エスクロー方式」を採用している。

■ CtoCビジネスの未来


BtoCと比較しCtoCにはユーザー間の信頼関係の構築や、モノやサービスの質の担保に課題があるといえる。ネットオークションやフリマアプリでも無理な値引き交渉や購入後のクレーム、転売されるなどのトラブルも増加しているため、消費者庁は「消費者契約法の改正」に向けた会合資料において、CtoCに関するトラブルの内容を盛り込み問題提起している。

まだまだルールの明確化がなされていない現状と言えるCtoCビジネスモデルだが、スマートフォンの普及以降、CtoC市場はフリマアプリの急激な成長などもあり日本でも拡大傾向にある。

そしてCtoCとはいえそのプラットフォームは企業が提供するものであり、この点にビジネスチャンスがあるだろう。現在はモノ、時間、宿泊、移動などがCtoCで取引されているが、新たなモノ、コトを見つけ出す嗅覚を研ぎ澄ませていきたい。

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