マーケティング塾(30):「事業アーキテクチャを設計する(3)」

事業アーキテクチャ
事業アーキテクチャ 、すなわち企業が起こす行動の構造は大きく4つに分類できる。
・基本モデル(基本的な構造)
・BtoCモデル(消費者への販売)
・BtoBモデル(企業への販売)
・CtoCモデル(消費者自らが販売)

前回はBtoC事業モデルを確認した。「卸の中抜き」による、企業と消費者の直接販売モデルの分類である。

今回は3つ目の形態、BtoBモデルを確認する。

■ 事業アーキテクチャ におけるBtoBモデル(企業への販売)


BtoB、企業を顧客とする事業形態は幅広い。部材供給しかり、その部材の部品もしかり、または完成品を企業に販売することも含まれる。この項では主要なBtoBモデルについて解説していく。

2021年の現在、消費者向けのマス的な事業だけでなくごく限られた取引先を対象とする「対企業」すなわちBtoBの事業においても、インターネットの活用が重要となっている。

インターネットを用いたBtoB事業モデル、もう少し突っ込んでいえば「BtoB発展型ビジネスモデル」は以下の3形態に分類できる。

・BtoBポータルモデル
・BtoBインフォメディアリー
・BtoBハブ

それでは各々を確認していこう。

(1)BtoBポータルモデル

「ポータル」とは窓口、入口という意味である。インターネットの世界ではしばしば「ポータルサイト」という言葉が使われるが、これは「そのサイトを窓口(入口)として、様々な情報を集めていますよ、情報をワンストップで得られるサイトですよ」ということを示している。Yahoo!ライブドアが有名である。

そうした意味でBtoBポータルとは、「ある特定な業界、業務に関する総合情報窓口」を提供する形態と言える。

一般に製造材を調達する場合は専門的な知識が求められる。祖のカバーする範囲は狭いが奥が深いので、そういった「狭く深い」情報を網羅したポータルは非常に重宝されるのである。

また企業を対象にする事業には非製造材も存在する。例を挙げればメンテナンス需要や交通移動に関するチケット販売、また事務用品等の消耗品も含まれる。これらは上記製造材とは逆にカバーする範囲が広く、その差もあまりないことに特徴がある。こうなると調達サイドとしては「情報の洪水」に飲まれてしまうことが懸念されるので、それら情報を整理して、調達サイドが着実に目的の製品にたどり着けるようなポータルは重宝されることになる。

(2)BtoBインフォメディアリー

インフォメディアリーとはインフォメーション(情報)とインターメディアリー(仲介業)を合わせた造語で、「情報を仲介して需要のマッチングを図るマーケティング用語」である。つまりBtoBインフォメディアリーとは「情報を収集し、企業間にその仲介をする」事業を指す。情報コンテンツの制作を請け負い、パッケージ化し、上記BtoBポータル等に提供することも事業になり得るということを示している。

(3)BtoBハブ

ハブとは車輪やプロペラなどの中心にある部品や構造のこと。転じて、中心地、結節点、集線装置などの意味で用いられる。BtoBハブとは、多数の売り手と買い手との間に入り、その結節点として売り手と買い手を引き合わせる事業モデルである。

BtoBハブはアグリゲーションとマッチングという、2つのメカニズムを通して価値を創造する。

・アグリゲーション
アグリゲーションとは集約する、集合体、集合させるといった意味を持つ言葉であり 「情報をアグリゲートする」などと使ったりもする。 複数の企業が提供するサービスを集約し、1つのサービスとして提供してくものを指す。

アグリゲーションは基本的に固定価格で取引を仲介する。このメカニズムが働くのは、①製品の特殊性や専門性が高い、②品種が非常に多い、③製品価格に対して取引コストが高い、といった条件が成立する場合である。これらはオークションや合い見積もりに適さないからである。

・マッチング
マッチングもアグリゲーション同様に多数の売り手と買い手の集合となるが、こちらの特徴はリアルタイムで価格が変動することにある。マッチングが適しているのは、①製品がコモディティ(日用品)あるいはそれに近い、②取引コストに比べて取引額が大きい、③需要や価格の変動が激しい、などの条件が満たされるときである。

■ 事業アーキテクチャ でのBtoBマーケットの未来


ドットコムブームが巻き起こった2000年初頭には、「様々な企業が先を争うようにインターネット事業に参入するだろう」と言われた。しかし現実にはそのようにならなかった。「我先に」と参入した多くの企業はすでに撤退を余儀なくされ、残ったものも多くは生き残りをかけたレッドオーシャン戦争に巻き込まれている。

インターネットにおけるBtoBハブが繁栄できずにいる理由はなぜだろうか。これにつてマーサー・マネジメント・コンサルティングのリチャード・ワイズとデビッド・モリソンは次の3つの理由で説明できるとした。

①  多くの企業がその歴史において、すでに様々な企業とパートナー関係を築いている。インターネットでの安価な調達に乗り出せば、既存パートナーとの良好な関係にひびが入ることを恐れている。
② 高めの価格を維持してきたサプライヤーは、価格低下圧力を受けることを恐れてBtoBマーケットへの参加をためらう。例え多くの買い手に巡り合えるとしても、サプライヤーは価格低下圧力には従えない。
③ インターネットでのBtoBマーケットは参入障壁が低く既成ソフトウェアを用いて低コストで構築できるため、参入ラッシュを招き業界全体として利益率が低下してしまっている。

さて、ワイズとモリソンはこのように述べながらもインターネットBtoBは今後再生すると予測している。多くの企業の購買部門がオンライン調達によるコスト削減効果を実感してしまえば、この「大きな潮流」に逆らうことはできないであろう、と。

次回はCtoCモデルを確認する。

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