マーケティング塾(29):「事業アーキテクチャを設計する(2)」

 事業アーキテクチャ
事業アーキテクチャ 、すなわち企業が起こす行動の構造は大きく4つに分類できる。
・基本モデル(基本的な構造)
・BtoCモデル(消費者への販売)
・BtoBモデル(企業への販売)
・CtoCモデル(消費者自らが販売)

前回は基本モデルを確認した。売り手と買い手の”数”からみた構造形態である。今回は2つ目の「BtoC事業モデル」を確認する。

■ 事業アーキテクチャ におけるBtoCモデル(消費者への販売)


ひとくちにBtoCビジネスモデルといってもその形態は多種多様である。その中でもここでは近年拡大しているインターネット、デジタル技術を用いた事業構造を取り上げ、それらを大きく5つの種類に分けたいと考える。

(1) Eコマース・ストアフロント

製品やサービス自体を販売する形態であり、インターネット販売に適した品ぞろえが成功のカギとなる。

では、インターネット販売に適した品ぞろえとはどんなものだろうか。それは次の5点のうち一つ、または複数の要件を満たしたものといえる。

① インターネット上で販売したほうが、取引コストが低い製品。(書籍、ソフトウェアなど)
② 顧客のニーズや状況が大きな意味を持ち。補足情報の提供が欠かせない製品。(旅行サービス、健康関連商品など)
③ 顧客の意見を高度化やカスタマイズに反映する製品。(コンピュータ、自動車など)
④ 品質への信頼性が高く、実際に手にしなくても安心して購入できる製品。(高いブランド性を持つ製品など)
⑤ インターネット販売のほうが、単位当たりの利益が大きい製品。

この形態は現在それこそ星の数ほどあるが、成功している事業者はほんの一部といえる。それら成功している事業者は上記5点を一つ以上、持ち合わせている。

(2)ポータルサイト

ポータル、言い換えるならばゲートウェイ(玄関、入口)であり、検索エンジンに相乗りしてニュースや意見、論説、情報を提供する。訪問者をつなぎ留め、長時間の滞在で多数のページを閲覧してもらい、広告収入で成り立っている。ヤフー、ライブドア、AOLなどがその代表例である。

(3) インフォメディアリー

ポータルサイトの派生、発展形がインフォメディアリーである。情報を提供するだけでなくコンテンツを自身で制作、再販する形態である。Eコマースのように製品やサービスの提供ではなく情報、知識、経験の蓄積を仲介し、販売する。

上記ポータルサイトの例で挙げたヤフーなどは、その端緒は検索エンジンとしてであり、その後に情報を掲載しだし、現在はヤフーオリジナルのコンテンツ提供も始めている。「入口」としての座を争いながら、その先のインフォメディアリーへの転換を狙っている。

インフォメディアリーでは「ファシリテーター」と呼ばれる存在が重要なカギを握っている。「ファシリテーター」は情報を提供し、売り手と買い手を引き合わせるコーディネーター役を担うので、企業も顧客も、ファシリテーターの存在があるからこそその探索コストの引き下げに成功するのである。

単なるポータルからインフォメディアリーへ転換するにはファシリテーターの存在が欠かせない。

(4)トラスト・インターメディアリー

消費者の多くはインターネットでの取引にはリスクが存在すると考えている。
・注文通りの商品が届くだろうか?
・返品は受け付けてもらえるのだろうか?
・連絡先はどこか?返送先はどこか?
・その時の費用はどうなるのか?
などの不安をリスクとして認識している。

トラスト・インターメディアリーはそれらの不安を取り除く製品、サービスのことである。企業に対しては支払いの保証を請け負い、消費者に対しては商品の信頼性を担保し返品の受付なども担う。企業と消費者の間に入る、ある種の「保険」のような形態のことといえよう。

通常の取引においても企業が不安を覚えるような取引には仲介業者を間に入れることは多々あった。現在でもこの取引は行われているものの「卸の中抜き」などといわれる直販形態の増加、つまり取引コストの低減圧力からの直販が増えている。通常の取引ならば顔が見えることで双方が安心することもあるが、やはりインターネット取引ではそのような接点を持ちづらい。そしてインターネット販売では通常取引よりも一般的に様々なコストはもともと低いので、その分をトラスト・インターメディアリーの活用に回すという考えが生まれたのである。

デジタル技術は参加者の匿名性を前提とした取引が行われている。だからこそ双方に一定の信頼担保は欠かせない。そうしたニーズを踏まえた事業の構造形態である。

(5) Eビジネス・イネイブラー

事業パートナーの業務オペレーションを円滑化する製品、サービスの提供である。受注処理、配送処理などを請け負うことで企業の業務を円滑化するというサービスも一つの授業形態である。

■ 事業アーキテクチャ におけるBtoCビジネスモデル形態の関係性

サティスファクション
BtoCビジネスモデル、すなわち企業が直接消費者と取引するということなのだが、企業にとって中間業者を排除するとその分のコストが下がると考えるも実は逆にコストが増加することがある。なぜなら一般的に企業(自社)は一つ、消費者(対象)は無数であり、その管理コストは膨大になることが多いからである。そこに目を付けたトラスト・インターメディアリーとEビジネス・イネイブラーという事業構造は、インターネット、デジタル時代の新しい形態と言えよう。

もちろんポータルサイトとその発展形であるインフォメディアリーの存在があってこそのトラスト・インターメディアリーでありEビジネス・イネイブラーであるので、これら4形態は密接に関わっている。

Eコマース・ストアフロントはもはや一般的すぎる。もちろんこれから始める事業者もどんどん現れると思うが、冒頭に記した5点をしっかりと認識しなければならない。

次回は3つ目の形態である「BtoBモデル(企業への販売)」を確認する。

 

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