マーケティング塾(28):「事業アーキテクチャを設計する(1)」

事業アーキテクチャを設計する
これまで見てきたように企業が提供する製品は「自社のコンピテンシー」、「自社の事業領域」、「事業パートナー」によって形作られる。

そしてここでもう一つ、製品創造にエッセンスを加えようと思う。それは「事業パートナーの経営資源」である。

これら4つの資源を考慮するとより深みのある戦略的な判断からの事業アーキテクチャ(論理的な構造)を設計できるのである。

事業アーキテクチャ

また、現在の経済環境下では「価値の創造」は二方向からのパワーで成り立っている。

・消費者のパワー(要求水準の高まり)
・企業のパワー(イノベーション)

であるが、特に重要なのはやはり消費者のパワーであろう。前回までに述べたとおり、消費者は様々なタイプに分けられる。

① 数多くの既製品の中から好みに合ったものを選ぶタイプ
② 自分のニーズを満たすために製品や設計に関わるタイプ
③ 価格をもとに購入するタイプ
④ 価値を重視して個別のソリューション(提案)を求めるタイプ

さらにこれらの分類とは一線を画す形で両極端に位置するのが、

⑤ すべてに受け身のタイプ
⑥ 企業との共同生産をするタイプ(コ・プロデューサーという)

となる。

消費者の分対と同様に企業側もタイプ別に分けてみると、

① バリューチェーン全体を自ら統率するタイプ(オールラウンドプレーヤー)
② 特定の分野に集中するタイプ(スペシャリストプレイヤー)

の2種類となる。

現在、多くの企業がデジタル技術とインターネット環境を用いて戦略パートナーとの業務プロセス、業務構造、製品生産、サービスの提供、情報の流れなどの合理化を進めている。

本章では①基本のビジネスモデル、②BtoCビジネスモデル、③BtoBビジネスモデルを扱い、最後に現在のネット社会で大きな進展の見られる④CtoCビジネスモデルを取り上げる。

事業アーキテクチャ、すなわち企業が起こす行動の構造は大きく上記4つに分類でき、基本的な構造を基に各種のモデルが派生したわけであるので、まずは基本的な事業構造モデルを確認していくことにする。

■ 基本のビジネスモデル


ビジネスモデルを設計する目的は、その企業特有の価値の流れを管理することである。事業の取引には以下の4つの形態があり、売り手と買い手を結びつける構造がそれぞれ異なる。

・1to1(ワン・トゥ・ワン)
・多対1(メニー・トゥ・ワン)
・1対多(ワン・トゥ・メニー)
・多対多(メニー・トゥ・メニー)

では一つひとつ確認していこう。

1. 1to1(ワン・トゥ・ワン)

売り手と買い手が直接取引する形態で、中間業者を排除した形態である。これはやはり、大きくはデジタル技術の発展によって実現した。これまでは顧客情報を多く持つ仲卸の存在が大きく、彼らはそのパワーを使って企業に介入して利益を得ていた。企業はそのパワーによって仲卸に頼らざるを得なかったのである。

しかしデジタル技術はその壁を壊してしまった。企業は直接消費者に情報を届け、消費者は直接企業に要望を伝えられるようになったのである。これによりバリューチェーンから仲卸業者を排除し、企業、消費者双方にとってコストの削減という大きな恩恵をもたらすことになった。売り手は容易に販売チャネルを拡大でき、そこに仲卸業者は介在しない。消費者も仲卸業者に依頼することなく企業(または製品)の情報を得て、直接問い合わせもできるようになった。

この代表例は、やはりアマゾンドットコムであろう。

2. 多対1(メニー・トゥ・ワン)

ある一人(1社)の買い手の興味に応じて仲介業者が様々な製品、情報を集めて提供する、いわば代理人としての機能を目指すモデルである。

企業の購買活動においては、その多くが購買担当部署により情報の収集、相見積もり、交渉を行うのが通例である。その時に無数の企業や製品を一人(または一部署)で比較検討するのは物理的に大きな負担が生じる。

ここで信頼のおける、その道の専門仲介業者を活用することで、情報収集や注文処理、最終購買において大きなコストの削減を達成できることになる。

このモデルは伝統的な「商社経由での購買活動」が該当する。

3. 1対多(ワン・トゥ・メニー)

こちらは売り手の利益に沿う、仲介事業を指す。特定の売り手を緊密な関係を築くことで可能となる。これは伝統的な「商社経由での販売」が該当する。ただ、やはりここでもデジタル技術は大きな力を発揮する。「1対多」は対象が企業だけでなく消費者も含むことになり、インターネットの活用でその仲介事業者は企業の顧客となりうる消費者をこれまでよりもより多くのチャネルで発掘し、取引に至らせることができる。

4.多対多(メニー・トゥ・メニー)

最後のメニー・トゥ・メニーは、多数の買い手と多数の売り手を引き合わせる事業構造である。事業者は引き合わせる場において売り手と買い手の双方(または売り手側からのみ)からの取引手数料を得る。パチンコ業界での中古機ドットコムなどはその典型例あろう。

■ どの事業構造を選ぶか


自社はどの事業構造を使って収益を上げていくべきか。これは既存の価値観にとらわれてはいけない。製造業だからと言って「1対多」しか使えないか、というとそうではない。デジタル技術の発展を常に意識して、「顧客のベネフィット」を常に考えることで違った事業構造を構築することができるはずである。

次回はBtoC事業モデルを確認する。

 

面白かった、と思った方はポチっとお願いします。


ビジネス・業界ランキング

【コロナ禍を勝ち抜く】稼働と利益を両立させる思考と行動【相談無料】

・稼働を上げようとすると利益が減る
・利益を上げようとすると稼働が下がる

こう考えていませんか?そんなことは無いです。稼働と利益は両立できます。

必要なのは「論理的な思考」と「マーケティング」。イベントや新台入替には頼らないABCの営業支援はお店の足腰を強くします。