マーケティング塾(25):「他社を圧倒する製品、サービスを創る(3)」

他社を圧倒する製品、サービスを創る(3)
自社が顧客に提供する製品(サービス)については他社と同じまたは劣っているのでは意味がなく、むしろ他社を圧倒していなければいけない。

そのためには以下のことを考えていく必要がある。

1.製品(サービス)のカテゴリーを分類
2.製品(サービス)の設計
3.チョイス・マップの設計
4.チョイス・ボードの提供
5.価値提案の構築

前回は「3.チョイス・マップの設計」について、顧客の消費チェーン(つながり)を確認した。「チョイス・マップ設計の3ステップ」は以下のようになる。

ステップ1 顧客の消費チェーン(つながり)を分析する
ステップ2 顧客の学習経験を理解する
ステップ3 消費チェーンと学習経験を基に、状況に合った製品やサービスを設計する

今回は残りの2つのステップを見ていくことにする。

(ステップ2)顧客の学習経験を理解する

チョイス・マップ
チョイス・マップを作るためには顧客の経験、それも製品使用での学習経験を負う必要がある。この時の経験は「プロセスベース」と「コンテンツベース」に分けられる。

「プロセスベースの経験」とは製品の機能や使い方を学んでいくことを指す。ウェブサイトを使って「知りたい企業の情報を取得する」を例に考えると、
・そのサイトのデータベースの使い方
・検索ワードの指定方法
・検索範囲の指定方法
などをまず知らなければいけない。この時の学習、経験次第でこのサイトをどの程度使いこなせるかが決まる。

他方、「コンテンツベースの経験」とは、その製品に含まれる情報を学び取ることである。上記ウェブサイトでの企業検索で考えれば、
・どれだけの情報量があるか
・該当企業の情報の広さ、深さはどの程度か
・正確性はどうなのか
などを学ぶことになる。

以上のように、顧客は「その製品のプロセス=機能、使い方」の面と「その製品のコンテンツ=内容の充実度」の面を推し量り(比較し)、顧客自身にとっての有効性を考えるのである。

ここで重要なのは、
・顧客にとって学習経験とは「投資」である
という視点である。顧客は理解するまでに「時間という資源」を投資している。その投資=労力に見合う以上のリターンがある製品設計が、「他社を圧倒する製品」の重要管理点となるのである。

(ステップ3)消費チェーンと学習経験を基に、状況に合った製品やサービスを設計する

顧客の学習経験
顧客のゴール、すなわち「顧客が求めているコト」を発想の起点にすると新たな視界が開けるはずである。それは往々にして時代(や、テクノロジーの発展)によって変化する。

例えば写真について考えてみよう。
顧客の求める「モノ」は写真そのものである。今から30年前はそれがフィルムによるものだった。まさに「製品そのもの」に焦点を当てている。

しかしそれから時代は移り変わりデジタル化が進展した。
顧客の求める「モノ」は写真で変わらないが、「コト」に焦点を当てた結果がデジタルカメラの登場となり、さらに携帯電話による撮影とやり取り(送信機能)、続いて保管場所のクラウド化、近年はお手軽加工とその「求めている“コト”」は変化していることが分かるだろう。

最終的に欲している「モノ」が変わらなくとも「コト」が変わった事例は枚挙にいとまがない。

・電車に乗って移動することは変わらないが、乗車方法は切符からプリペイド、さらにカード決済に進化し、現在はスマホ決済となっている。
・音楽を聴くことは変わらないが、その方法は据え置きから持ち運び、小型化、データ化と変化している。

アマゾンなどは「潜在的な欲しいモノ」を提案するサービス(関連商品、あなたへのおすすめ)を提供し、顧客自身の探すという手間を省くことに成功している。

パチンコ店の営業でも顧客の欲しているモノは変わらずとも、その「コト」が変わっていることを確認してみよう。

・硬貨だけでなく1000円札、4金種、貯玉、さらに各台計数と遊技の利便性が上がっているコト
・低貸玉営業の登場
・イベントの開催、著名人来店、ライター取材等

すべて「パチンコを遊技する」ということに変わりはなくとも、そこまでのアプローチ、体験が変わってきている。今後、もっと新しい「コト」が生まれる可能性はある。

さてここで「「製品(サービス)の設計」について、
・形式と機能
・バンドル(組み合わせ)販売と単独販売
という2つの視点で考えてみよう。

・形式と機能を分ける

製品やサービスはすべて「形式」と「機能」の組み合わせである。例えば、

・パチンコ営業
形式・・・遊技機を設置して遊技させること
機能・・・ワクワク、ドキドキを感じてもらうこと

・コンサルティング
形式・・・クライアントと直にミーティングをすること
機能・・・問題と課題を探り、分析し、解決策を提示すること

・自動車
形式・・・早く移動させること
機能・・・わかりやすい操作性を提供すること

もちろん形式も機能も上記は一例であり複数あるのが当然である。そしてどれも「物理的な形式」から機能を切り離して考えることで、計り知れないほどの大きな市場機会を引き出せることが分かるだろうか。

Yahoo!その他のプラットフォーム事業者の場合、ベータ版の公開により製品テストや品質テストを顧客に行ってもらうことで自社のエンジニアの負担軽減によるコスト削減とともに顧客忠誠心の向上を引き出している。

デジタル化の進展に従って、従来の形式を離れて製品やサービスを提供できるようになった。これは新しいビジネスチャンスの到来を意味している。

・バンドル(組み合わせ)販売と単独販売

ある製品(サービス)が単独で顧客に提供されることは稀である。組み合わせ販売が一般的なのだ。銀行は貯蓄だけでなく各種引き落としや貯蓄商品の販売も行っている。金融に関するワンストップショッピングともいえよう。自動車ディーラーは車の販売だけでなく保険、修理サービス、周辺アクセサリーの販売も行っている。

パチンコ店も同様だ。パチンコ店のサービスは「パチンコ、スロットの遊技環境の提供」だが、それ単独ではなく飲食物の提供、各種イベントによる付帯娯楽性の提供、休憩スペースの充実、店舗によっては各台テレビ設置など「娯楽のワンストップ」と言える複合性を持つ。

上記の例は、実はバンドル(組み合わせ)販売とは「その製品(サービス)自体に足りない事、損失部分を他の製品(サービス)で補っている」ことを意味している。組み合わせることで相乗的なベネフィットを提供しようとしているのである。

しかしこれは逆に一部の顧客、つまり「それらを必要としない顧客」に対しては不当に高い価格を強いることにもつながる。付帯製品やサービスにも当然コストがかかるものであり、それらに利潤を上乗せしないまでも顧客に要求する価格に多少は跳ね返るからである。

そこに注目する動きもある。それが単独販売だ。他社の製品(サービス)内容を分析し、その中の一部のみの提供をすることでスキマのニーズを奪取しようという試みである。オンラインによる保険販売などはその好例だ。

また、バンドリングと単独の「いいとこ取り」も行われている。これは顧客自身にサービスの一部を負担してもらう方法だ。つまり顧客自身に提供サービスを代行してもらうことで金銭的な負担を軽減しつつ、提供サービス自体はワンストップを実現するのである。

・銀行のATM・・・和運ストップを維持しつつ窓口業務の軽減化
・無人ガソリンスタンド・・・給油のワンストップ且つスタッフ業務の軽減化
・お客様窓口・・・自動応答によるオペレータの業務軽減化

以上2回にわたり「チョイス・マップ」の設計方法を確認してきた。
チョイス・マップとは、設計された製品(サービス)の提供方法を確認することである。チョイス・マップを考えることで設計された製品(サービス)を最適な顧客に届けることができるのである。

次回は他社を圧倒するための4つめ、「チョイス・ボードの提供」を確認する。
 

面白かった、と思った方はポチっとお願いします。


ビジネス・業界ランキング

【コロナ禍を勝ち抜く】稼働と利益を両立させる思考と行動【相談無料】

・稼働を上げようとすると利益が減る
・利益を上げようとすると稼働が下がる

こう考えていませんか?そんなことは無いです。稼働と利益は両立できます。

必要なのは「論理的な思考」と「マーケティング」。イベントや新台入替には頼らないABCの営業支援はお店の足腰を強くします。