マーケティング塾(16):「“逆”セグメンテーションへの対応(2)」
マーケティングの主体が4つとなったことでこれまで企業が主体となって進めていた活動に“逆のベクトル“が向くようになった。その中でも特に重要なのが「セグメンテーションを、顧客が行う」という“逆セグメンテーション”である。
企業が顧客を層別にしていくのではなく、顧客が企業を層別にしていく。こうなると主導権が顧客に移ってしまうことになり、「顧客満足」の名のもとに企業は顧客におもねるばかりとなってしまう。
どうしたらこの主導権を奪回できるのか。それも、あたかも「顧客自身の思考によって選んだ」と思わせながら。
それには、
・顧客の意識を探り、
・自社のコンピテンシーを見極め、
・事業パートナーの経営資源を活かす
という行動が必要である。
前回(Vol.15)は顧客の意識を探るための考え方をお伝えした。
今回は2番目の「自社のコンピテンシーを見極める」ことについてお伝えする。
■ コンピテンシー
コンピテンシーは「高業績者の思考、行動特性」と訳される。そして高業績を上げる者の考え方とその行動を調べてその通りの動きを真似ることで同じような業績を上げようとする方法が「コンピテンシー人事戦略」である。
この考え方をマーケティングでも活用したい。マーケティングにおいてのコンピテンシーは「自社の特性、それも高業績を上げる特性」を指すことになる。一般的に言われるSWOT分析における「強み」に近い。
ただしSWOTでいう強みが「自社の良い部分」を指すのに対し、マーケティングコンピテンシーでは「その高業績につながった考え方と、行動特性」を考えることになる。言ってみればSWOTでの強みは「結果」、コンピテンシーは「その要因」といったところであろう。
「自社が強みを発揮しているその要因は何なのか?」を考える場合、最もシンプルなのは、
・フィールド
・資産
の活用における特性である。そしてその特性を生かす思考と行動がどのようなものだったか、を考えればよい。
(1)フィールド
自社の行動のどこに高業績の要因があったのかを考えることである。概ね次の3つの分野のどれか、または複数になると考えられる。
① インフラストラクチャの整備
自社が持つ人材、部門、事業部等の経営資源の差配が高業績の源泉と考えられる場合である。
② 製品の開発能力
アイデアを形にして市場投入するまでの一連の流れが高業績の源泉と考えられる場合である。
③ 顧客との関係性
顧客との強い絆を生み出す能力が好業績の源泉と考えられる場合である。
(2)資産
自社はどんな資産を活用して高業績を上げたのかを考える。それは情報的資産と物的資産に分けられる。
① 情報的資産
情報的資産とは知識である。知識は風土(社風)、ブランド力、問題解決能力、組織の暗黙知、およびそれらすべてを包括して社内で体系立てた形式知からなる。
これらカタチのない情報的資産が強みの源泉としてコンピテンシーを形作る。
② 物的資産
もう一つが物的資産である。物的資産自体は3大経営資源の「モノ」でありカネで解決できる資源だが、その活用方法に自社のコンピテンシーがある場合がある。
顧客からの逆セグメンテーションを(あたかも顧客自身の選別であると錯覚させて)回避するには、自社の強みの源泉を把握し、そこから導き出される「すべきこと」を進めていくことが有効である。
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1972年生まれ、福井県出身。名城大学卒。マーケティング理論と計数管理に強みを持ち、正確な計数管理力とマーケティング手法、戦略論をベースにした勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。パチンコを盛り上げるオンラインサロン「パチ盛り」の代表主宰。ツイッターフォロワー3,606人(’21.4.9現在)
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