マーケティング塾(15):「“逆”セグメンテーションへの対応(1)」
前回までの2回では「マーケティング実務の変遷」を確認した。その中の最後に「逆セグメンテーション」という変化、つまり、
・企業が顧客をセグメントに分けるのではなく、顧客が企業を選別する
という流れがあることを見ている。
そして今回からは3回に分けて、この「逆セグメンテーション」について4Cの面から、
・顧客の意識を探り、
・自社のコンピテンシーを見極め、
・事業パートナーの経営資源を活かす
方法を確認していこうと思う。
※「4C」とは顧客(Customer)の得られる以下の4つの価値をいう。
1.価値(Customer Value)の増大
2.価格と費用(Customer Cost)の低減
3.利便性(Customer Convenience)の増大
4.コミュニケーション(Customer Communication)の向上
■ 顧客の意識を探る
「意識」には2種類ある。顕在的な意識と潜在的な意識だ。ここではマーケティングの話であるので、「顧客の意識」を「顧客のニーズ」と置き換えて話を進めていくことにする。
顧客の持つ顕在的なニーズは「表に現れている」のだから顧客自身が知覚しており、「こうしてほしい、このようなものが欲しい」として企業に問うことができる。この場合はその欲求に対応すればいいのである意味、簡単だ。(ただし逆セグメンテーションの洗礼は受けることになるのだが)
これに対して潜在的なニーズは「潜って」いるのだから、顧客自身にも実は分かってはいない。企業に対してぶつけることもなく、また満たされるとも思っていない。
そして「逆セグメンテーション」時代においては、企業はまさにこの「潜在的なニーズを満たすこと」を追求することで、顧客からの選別を回避することにつながる。(なお「潜在ニーズを掘り起こした例」としてマーケティングの教科書に登場する代表は、ソニーの「ウォークマン」である)
顧客の潜在的なニーズを探り当てるにはどうすればよいか。実はこの点に関して、㈱リサーチアンドディベロップメント創始者の牛窪一省氏(うしくぼ・かずあき氏)は顧客ニーズを、
・外交的⇔内向的
・カオス⇔秩序
で区切る4象限で表現することで対応可能だとした。この二軸を基にすれば顧客ニーズが「変化、参加、自由、安定」の4つに分類できるので、それらの根底を探ればよいというものである。(図①参照)
この図によれば顧客ニーズは顧客自身の置かれた環境やライフステージによって変わるものであり、これらの「顧客の“潜在的”意識空間」を探ることで数多くのビジネスチャンスを見出すことができるというのだ。(図②参照)
この4象限の活用の好例は、
・「自由」を追求したデル・コンピュータ
・「変化」を追求した無印良品
が挙げられる。
潜在的なニーズ―言い換えれば「知覚されていない需要」-に着目し、それを満たす施策、戦術、手法を考えることで、顧客からの「逆セグメンテーション」を回避し、「あたかも顧客自身が選別した結果、選んだ」かのように自社の製品(またはサービス)を届けることができるのである。
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1972年生まれ、福井県出身。名城大学卒。マーケティング理論と計数管理に強みを持ち、正確な計数管理力とマーケティング手法、戦略論をベースにした勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。パチンコを盛り上げるオンラインサロン「パチ盛り」の代表主宰。ツイッターフォロワー3,606人(’21.4.9現在)
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