マーケティング塾(14):「マーケティング実務の移り変わり(2)」
”逆”の時代になっている
マーケティングの戦略が変われば当然、すべきこと=実務は変わる。過去にはマーケティングというものは企業から顧客に対する行動とされていたが、前回までに確認した通りマーケティングの主体が4つに増えたことにより、その「パワー」は企業から顧客に移っている。企業主導ではなく顧客主導、ということだ。
この移り変わりを一言で言い表すなら、それは「逆」であろう。そしてその「逆」であることは6つの面から見ることができる。
そこで「何が逆なのか?」を前回から2回に分けて述べている。前回は「逆製品設計」と「逆価格設定」だった。
今回は残りの4つ、すなわち、
・”逆”広告
・”逆”プロモーション
・”逆”流通チャネル
・”逆”セグメンテーション
について確認する。
■ ”逆”広告
これまでの広告活動は企業から顧客に向けて行うものだった。不特定多数を対象にしたマス広告であるブロードキャスティングである。しかしインターネットの拡大により広告はナローキャスティングに取って代わられようとしている。
※ナローキャスティング:マスメディアを使うブロードキャスティング型の広告に対し、特定のターゲットを狙って効率的に狭い範囲で行う広告や販売促進活動のこと
インターネット利用者でアマゾン・コムによる「あなたにお勧めメール」を受け取ったことがない消費者はほぼいないだろう。いわゆるGAFAはこのマーケティング手法のフレームワークを提供することで巨大企業となったことは周知の事実である。
■ ”逆”プロモーション
プロモーション(販促)も企業だけのものではなくなりつつある。プロモーションを行う主体が企業だけでなくその周辺業者から、という流れができつつあるのだ。
皆さんも「試供品プレゼント」を利用したことがあるかもしれない。そして現在は試供品のプレゼントを専門に扱う業者が現れており、企業と消費者の橋渡し、仲介をしている事例がある。企業には消費者の情報、属性、好み、要望を提供することで対価を得るのである。
■ ”逆”流通チャネル
過去、消費者が製品得るためには小売店舗に出向くしか方法がなかった。それがアマゾンの登場で劇的に変わる。すなわち「ネット通販」の登場だ。
さらに現在は流通チャネルが増加の一途をたどっている。モノとしての製品だけでなくサービスまでもがインターネットで受けることができるのだ。
・音楽はダウンロード
・衣料は登録した自分だけのサイズで、デザインもオリジナルの製品
・医療はオンライン診療
「顧客がショールーム、販売店に行くのではなく、企業(小売店)が顧客のものとにショールームを届ける」という表現がピタリとはまるであろう。
■ ”逆”セグメンテーション
「セグメンテーション」、それはマーケティングでは絶対に欠くことのできない作業である。顧客をいろいろな項目で線引きを行い、企業にとって最適な顧客層を導き出すためには必ず行うべき作業だからである。
そして今、この「セグメンテーション」を行うのは企業ではなく消費者となった。
すなわち消費者自身が企業を、自分の嗜好や個人的特徴をもとに”層分け”し、消費者自身に合う企業を選んでいるのである。
消費者による”逆”マーケティングに対応するためには、企業は「マーケティングの4C」の向上に注意を払うべきである。
1.顧客価値(Customer Value)の増大
2.価格と費用(Cost)の低減
3.利便性(Convenience)の増大
4.コミュニケーション(Communication)の向上
企業は上記4つの軸をもとに、
・消費者の意識を探り、
・自社のコンピテンシーを見極め、
・事業パートナーの経営資源を活かす
ことが求められる。
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さて次回はこの点(消費者の意識を探ること、自社のコンピテンシーを見極めること、事業パートナーの経営資源を活かすこと)を深堀したいと思う。
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1972年生まれ、福井県出身。名城大学卒。マーケティング理論と計数管理に強みを持ち、正確な計数管理力とマーケティング手法、戦略論をベースにした勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。パチンコを盛り上げるオンラインサロン「パチ盛り」の代表主宰。ツイッターフォロワー3,596人(’21.1.16現在)
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