マーケティング 塾(37):「事業のインフラとケイパビリティ(能力)を構築する(6)」

マーケティング塾37
マーケティング における重要な項目「事業のインフラとケイパビリティ(能力)を構築する」、つまり自社の事業形態の確立とその能力を最大限に発揮するには3軸、すなわち「顧客、自社、事業パートナー」の視点で考え、投資すればよい。

ここでこの章を今一度俯瞰してみてみよう。

軸その1 「顧客のマネジメント」(第32回~35回)
第32回https://www.ab-c.jpn.com/9873
第33回https://www.ab-c.jpn.com/9878
第34回https://www.ab-c.jpn.com/9895
第35回https://www.ab-c.jpn.com/9913

内容は以下の通り。
・ターゲット顧客を特定し、
・ニーズを満たし、
・永続的な関係を築く

軸その2 「社内経営資源」のマネジメント(第36回)
第36回https://www.ab-c.jpn.com/9990

内容は以下の通り。
・ERP(Enterprise Resource Planning)とSCM(Supply Chain Management)の活用
・IRM(Internal Resource Management)の構築

そして今回は軸その3「事業パートナーのマネジメント」について考えてみようと思う、

■ マーケティング の事業パートナー、6つのタイプ

経営資源
企業は単独ですべてを行えるわけではない。世界に名だたる大企業であってもそれは同じでありだからこそ企業はパートナーとして他の事業者と協働し事業を展開する。

「新マーケティング原論(フィリップ・コトラー:2002年)」によれば事業パートナーは以下の6タイプに分類できるとしている。

【タイプ1】 戦略的サービス・パートナー
業務のアウトソーシング先である。わかりやすい例でいえばスーパーマーケットチェーンを浮かべてもらいたい。彼らはナショナルブランド(NB)製造企業に委託して自社向けのプライベートブランド(PB)製品を製造してもらい、自社で販売している。イオンのトップバリュが有名だ。

【タイプ2】 非戦略的サービス・パートナー
定型の事務処理など非中核的な機能(ノンコア・ファクションという)を担うパートナーのことである。会計事務所などがこの例にあたる。

【タイプ3】 付加価値サプライヤー
顧客企業の要求に合わせて最終製品のための部品を設計、製造する。このタイプは顧客企業と緊密な関係を築き、顧客企業にとってなくてはならない関係を持つ。トヨタとアイシン精機のような関係である。

【タイプ4】 コモディティ・サプライヤー
一般的な部品の供給事業者である。このタイプにはライバルが多い。顧客企業の多くが価格でパートナーを選ぶことになるので、この分野のサプライヤーはインターネットの普及が大きな脅威となる。(ウェブを開けば簡単に価格の高低がわかってしまう)

【タイプ5】 ネットワーク事業者
高いセキュリティを持った高速基幹回線で事業パートナー同士を接続し、標準技術やインターフェイスを用意することで彼ら(顧客企業とサプライヤー)の協働ネットワークの統合度を高める事業者である。

【タイプ6】 ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)
企業が独自で業務に必要なアプリケーションを開発すると途方もない期間と金額がかかってしまう。そこでこのタイプの事業者は各々必要なアプリケーションソフトウェアを顧客企業に提供し、その管理を行う。

信頼できる企業とパートナー関係を構築し多大な投資と事業へのコミットメントを引き出すことはとても重要だ。

しかし自社の事業に対してパートナーシップに参画する企業にとっては、自社との調和が必ずしも彼ら(パートナー企業)の最大のゴールではないことも肝に銘じておく必要がある。友好関係だけでなく、時には見解を戦わせてこそ、相互の利益や新しいアイデアを生み出せるのである。友好と緊張、このバランスに注意したい。

さて「有効と緊張」を持った協働ネットワークがその緊密度を高めていくと事業パートナー同士は互いに依存を強めていく。この「相互依存」は競争の在り方を変貌させる。つまり「個別企業が戦う」のではなく「企業群が戦う」ことになるのである。各企業ではなくネットワークが競争の主体となるのだ。このことはつまり、「企業間ネットワークの緊密さ、および友好と緊張関係」を高めていくことが競争力維持に不可欠ということにつながっていく。

■ 協働ネットワークの3形態

行動の要請
前掲「新マーケティング原論」では協働ネットワークを以下の3形態に集約している。

1.汎用品の取引という形態
特注品ではない一般的な製品をサプライヤーから購入するネットワークを指す。選定基準は金額、サービス内容、質、品ぞろえ、輸送距離などである。

このネットワークでの競争力向上にはVMI(Vendor Managed Inventory:ベンダー在庫管理)と呼ばれる手法が有効だ。これは顧客企と主要ベンダーが需要予測、在庫水準、物流情報を共有する手法であり、これによりサイクルタイムの短縮、必要人員とコストの削減を実現しつつ需給バランスの正確性を向上させることができる。

2.戦略的リレーションシップ
サプライヤーが専門性や特殊性の高い製品を納入して、顧客企業がそれを基に製造、販売などの業務活動を行うといった関係である。独自性の高い半導体を製造するインテルとPC製造企業のIBMなどはまさにこの協働ネットワーク下にある。

ここでもインターネットは活躍する。
インターネットは企業と戦略的サプライヤーをつなぐうえで重要な役割を果たしており、そのための仕組みがVMI(Vendor Managed Inventory:ベンダー在庫管理やCPFR(Collaborative Planning Forecasting Replenishment:需要予測と在庫補充のためのコラボレーション)などである。今や製品開発はコンカレントエンジニアリング(製品の開発プロセスを構成する複数の工程を同時並行で進め、開発期間の短縮やコストの削減を図る手法)が当たり前の時代であり、そのためにおインターネットは欠かせない。

3.市場対応型リレーションシップ
複数の企業が共同で、あるいはコンソーシアム(互いに力を合わせて目的に達しようとする組織や人の集団。共同事業体)を形成して様々な製品やサービスを提供することである。

■ 事業パートナーをマネジメントする


ひとつの企業が単独ですべてを賄えない以上、協働は避けては通れない。このことは現在の経済環境では常識のことなのだが、どうしても企業は「近視眼的」に自社の利益を最大化しようとし、そのために事業パートナーの利得を減少させる事例が後を絶たない(購買部門による「買い叩き」が好例だ)。しかしこれではいずれそのサプライヤーは疲弊し、その製品(あるいは部品、あるいはサービス)の提供を受けられなくなり、自社にとっても大きな損失につながってしまう。

事業パートナーとの共存共栄、パートナーとの協働ネットワークにより「共同体としての競争力を高める」ことに意識を向ければ、「事業のインフラとケイパビリティ(能力)」の向上が図れることに気づくべきである。

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以上により「事業のインフラとケイパビリティ(能力)を構築する」ための3つの視点、すなわち顧客視点、事業視点、パートナー視点の確認は終了する。

次回からはガラッと趣を変え「マーケティング活動の設計」についてみてみようと思う。

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